民主党の前原誠司『次の内閣』外相と松本剛明『次の内閣』防衛庁長官は18日、外務省、防衛庁、アメリカ大使館を訪れ、米軍ヘリコプター墜落事故に関して、事故原因の究明、再発防止、普天間基地の代替施設なき返還、日米地位協定の抜本的改定などを求めた。
アメリカ大使館ではマハラック臨時代理大使が応対。民主党側が、日米同盟の重要性にかんがみ、1977年の横浜での事故の際に行われた日米合同現場調査以上の対応、および訓練の再開に当たっての住民感情への配慮を求めたのに対して、マハラック臨時代理大使は「当時の状況を調べて対応する」とし、「日米地位協定以上のことをする必要がある」と答えた。また、普天間基地の辺野古沖代替施設の建設には10年以上かかってしまいかねないとの認識が示されたのに対し、民主党側は早期の代替施設なき返還が必要であることを強調した。
アメリカ大使館で手渡した要請書は次の通り。
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2004年8月18日
アメリカ合衆国特命全権大使
ハワード・H. ベーカー Jr.閣下
在沖米軍ヘリコプターの墜落事故に関する要請書
民主党代表 岡田 克也
8月13日、沖縄県宜野湾市の沖縄国際大学構内に米軍の大型ヘリコプターが墜落・炎上した。死者が出なかったものの、場合によっては、多くの被害者を出す怖れのあった極めて憂慮すべき事故である。米軍機墜落事故は、2000年以降も、4件続いており、その都度事故原因の究明と再発防止策の徹底が重要な課題となっていただけに、強い憤りを禁じ得ない。
民主党は、日米同盟の重要性に鑑み、日本国民の支持を得ることが必要で、そのための不断の取り組みを行うことを主張してきた。この立場から、在沖米軍基地に関し、96年のSACO(沖縄に関する特別行動委員会)最終報告をまず早期に実施することを政府に求めてきた。とりわけSACOで決定された普天間の返還については、地域住民への影響も大きいことを考慮し、速やかな返還を働きかけてきたが、SACOにある5年から7年以内の返還期限を越えても、未だ実現の目処もたっていない。
また民主党は、地位協定の抜本的な見直しをすべきとの立場を明確にし、2000年5月18日には外務大臣に対し、「日米地位協定の見直し案」を添えて、対米交渉を行うよう申入れた。これに対し、政府は、「運用の改善」にとどまる消極的姿勢を変えることなく、地位協定の具体的な見直しに取り組んでいないことは、わが国民の声に背を向けるものである。
以上の状況を踏まえて、以下の内容について、アメリカ合衆国政府に要請する。
記
1.わが国政府と協力して、当該事故に関する徹底的な原因究明を行い、その内容を公開すること。また、日米合同委員会の事故分科委員会を速やかに開催し、事故にかかわる主要な議事録を公開すること。
2.米軍の訓練のあり方及び合同事故の再発防止について、上記合同委員会などでの協議を通じ、抜本的な対策を講じること。
3.当該事故の原因究明と対策が講じられるまで、民間住宅地に隣接する米軍基地の飛行訓練を中止すること。
4.当該事故の人的・物的被害に対する補償について、日本政府と協議すること。
5.1977年に起きた神奈川県横浜市緑区の米軍ジェット偵察機墜落事故の際は、事故直後から日米合同で現場検証が行われたにもかかわらず、今回、合同調査が行なわれなかった理由を明らかにすること。
6.当該事故発生直後、米軍当局は、わが国当局の事故現場検証を容認しなかったが、米軍施設外はもとより、施設内においても、政府或いは地方自治体の関係者が立ち入りを要請した場合には、米軍が応じることを明 確に義務付ける内容に日米地位協定を改定すること。
7.日米地位協定のその他の条項についても、2000年5月、民主党がまとめた改定案を参考にし、日米地位協定全般の抜本的改定を行うこと。
8.SACOの合意事項を早期に実施すること。また、普天間米軍飛行場の代替施設なき返還を行うこと。
以 上
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