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2006/06/10
真の地域主権のあり方明確に示す 鳩山幹事長、室蘭での講演で
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 鳩山由紀夫幹事長は10日午後、北海道室蘭市で開催された「北海道マニフェスト分権改革フォーラムin室蘭」に出席。「地域主権と道州制」と題した基調講演を行うとともに、逢坂誠二衆議院議員らとパネルディスカッションにも参加した。

 鳩山幹事長は、この基調講演の中でまず、自らの年来の主張である地方分権の重要性を強調しつつ、国民の皆さんに対して、身近な問題として説得的に語ることの難しさも同時に指摘した。そして、地方に権限も財源もないまま中央集権のシステムが続くことで、「地方に力がついてこない」現状を述べ、「中央集権が行き過ぎているから、官僚天国で、天下りが無くならない」ために、「官製談合も当たり前のように行われ、ムダづかいがたくさん生じている」などと、官僚支配の中央集権システムに対して、厳しい批判を加えた。

 更に鳩山幹事長は、「地域主権という考え方の一つのやり方が、道州制というシステムだ」としつつ、「道州制になれば万々歳だ、という話ではないと思っている」とも指摘。「小泉政権の下で、中央と地方の関係は基本的に変わっていない」として、スローガンは素晴らしくとも、その内容は、中央集権システムを固守する官僚の作文であるとした。そして小泉政権の政策は、「その(官僚の)発想から抜け出すことはできていない」と批判し、三位一体と称する改革に「地域主権の真髄が入っているはずもない」と厳しく指摘した。

 続いて、政府提出の北海道道州制特区推進法案の内容についても、鳩山幹事長は言及。耐震偽装や年金保険料納付率など、最近、偽装問題が数多く起こっているが、「これもまさに、『道州制偽装』問題だ」として、「本当の意味での道州制ではなく、言葉の上で、形の上で、取り繕っただけだ」と厳しい違反を加えた。そして鳩山幹事長は、詳細にその内容について説明。国から道へ移譲される事業がわずか8項目であり、その内容もきわめて不十分であることなどを具体的に指摘し、その不十分な内容と不十分な議論に懸念を表明した。

 更に鳩山幹事長は、補完性の原理と連結性の原理に話を進め、「この二つが備わったものが地域主権だ」とした。まず、補完性の原理に関して鳩山幹事長は、「問題はより身近なところで解決されなければならない」として、個人でできることは個人で解決し(自助)、できれなければ家庭が助け(互助)、地域社会やNPOが助け(共助)、それでも解決できなけれ行政が関わる(公助)という発想が重要だと指摘。行政の中でも、基礎自治体でできることは基礎自治体で行い、だめなら広域自治体、それでもだめなら中央政府が、といった考え方を、事例も挙げながら説明した。

 連結性の原理についても、「権限に伴って財源が保障されなければならない」と、その基本的内容を示し、「この二つの原理はくっついている」として、自らが示した憲法試案の中でも「メインとして考えてきたのが、地域主権の国づくり」であり、「最も重要な改革だ」と指摘。「基礎自治体を中心とする地域主権の考え方」について、その内容、特に国の役割を、天皇、外交・安全保障、国会議員選挙、司法など13項目に限定することなど、丁寧に説明を加えた。

 最後に鳩山幹事長は、道州制の導入がそのまま地方分権の確立にはつながらないこと、道州制特区法案は道州制の名に値しないこと、地域主権国家の誕生には政権交代が必要であることなどを強調。来年の統一地方選を経て、参院選で自公連立政権を過半数割れに追い込み、世直しの総選挙が行われる中で、「地域主権を高々と掲げ、民主党が政権を獲る」との決意を力強く語り、講演を締めくくった。

 この講演の後、鳩山幹事長と逢坂衆院議員が、山口二郎北海道大学大学院法学研究科教授をコーディネーターに、パネルディスカッションを行い、地域主権のあり方について更に議論を深めた。この中で、逢坂議員は、「目標や目的がはっきりしている時は、中央集権に意味があった」としつつ、「自分たちの地域にあう形で、色々なことを考えていく」ことの重要性を指摘。「めざさなければならないのは、道州制よりも先に、分権型社会をどうつくっていくか、地域の実態や実情にあうように、私たちの身の回りのことを私たち自身が判断できるようにしなければならない」と述べて、分権社会のあり方を分かりやすく説明した。

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