民主党は27日、北海道札幌市内で年金改革国民懇談会を開催し、岡田克也代表、五十嵐文彦『次の内閣』ネクスト経済財政・金融担当相らが集まったおよそ500人の参加者とともに熱心な議論を繰り広げた。
冒頭、基調講演に立った岡田代表は、政府・与党が成立させた改正年金法について「負担は増え、給付は減り、しかも安定しない」と批判。高齢化社会における持続可能な年金制度こそ求められているとして、年金消費税を財源とする最低保障年金の導入と国民・厚生・共済各年金の一元化とを柱とする民主党の年金改革案を説明した。その上で岡田代表は、「秋の国会開会を10月以降に引き延ばせば、その間に国民も年金の問題など忘れるだろうと考えているのが小泉首相。そんなことは断じて許さない、という声をぜひ上げていってほしい」と会場に呼びかけた。
続いて、早稲田大学教授の植村尚史氏、ノンフィクション作家の沖藤典子氏、札幌市建築業組合理事長の細坂一美氏、そして岡田代表をパネリストに迎え、五十嵐ネクスト大臣のコーディネートでディスカッションが行われた。植村氏は民主党年金改革案について、「将来の備え」と世代間の「仕送り」という2つの年金のあり方を両方追求すると、結局払い過ぎになって負担にはね返るのではないか、との懸念を提起。沖藤氏は、民法上の「妻」と年金法上の「妻」の位置づけが異なること、働く女性の国や家族への貢献が年金法上で認められていないことなど、現行制度の問題点を女性の立場から指摘し、「民主党案の二分二乗方式(夫婦の収入を合算し、その1/2ずつを各人の収入とみなす)に非常に期待している」と述べた。また細坂氏は、生活苦を抱える建設労働者の現実を踏まえ、負担増を言うなら、高級官僚の総入れ替えや国会議員の削減も実現してほしい、と訴えた。
参加者との質疑応答では、「民主党案では、結局いくら給付がもらえるのか」「一元化すると自営業者の負担が一気に増えないか」などの質問があった。給付額の予測について五十嵐ネクスト大臣は、最低保障年金として6万6〜7千円、全体として17〜8万円という水準は維持したいとし、さらに明確な算定には個人事業主などを含めた所得状況の把握が必要だと述べた。また自営業者の負担増については、最低保障年金部分は税金で賄うため保険料にははね返らないこと、負担はある程度は増えることが予想されるが、給付も増えることなどを説明した。そのほか、社会保険庁による保険料の無駄遣いをやめさせてほしい、との意見も複数出された。
懇談会には、司会を務めた民主党北海道連会長の鉢呂吉雄衆院議員、同じく北海道選出の小川勝也参院議員、小林千代美衆院議員のほか、島聡衆院議員、白眞勲参院議員も参加した。
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