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2005/03/02
【衆院財金委】岩國・平岡議員 定率減税縮減問題などで政府を追及


 衆議院財務金融委員会は2日午後、小泉首相も出席して質疑を行い、民主党・無所属クラブからは、平岡秀夫・岩國哲人両衆院議員が質問に立ち、定率減税縮減の問題などについて、首相らの見解を厳しく質した。

 平岡議員はまず、定率減税の縮減が「国民生活にも大変重大な影響」を与える内容にも関わらず、他の税制改正事項と一緒にして日切れ法案の形にして提出したことについて「きわめて問題が多い」と強く抗議した。

 続いて平岡議員は、自身の本会議での再質問に対し「すれ違いの答弁に終始」した首相に、「真正面から応える答弁」を求めた上で、地方への税源移譲の問題を取り上げた。平岡議員は、「個別の事務事業の徹底的な見直しの論議を今後政府としてどのように進めるか」を質した。首相は、成果を見極めながら判断する、などと正面から答えないまま。

 年金事務費の負担特例についても平岡議員は、「年金の保険料は余計なことには使わない」とした首相答弁を引き合いに、年金事務費については保険料で賄う特例法案が出されていることを指摘。「いつまでこの特例を続けるのか」を質した。首相は、「社会保険庁改革の動向も踏まえて、今後検討していかなければならない」などとした。平岡議員は、年金改革の中でしっかり取り組むべき問題であり、首相の答弁違反だ、と改めて厳しく批判した。

 平岡議員はまた、定率減税が、法人税など抜本的な見直しを行うまでの間の措置とされている点に触れ、抜本改革のないまま法律違反の改正だと指摘。「法律違反とは思っていない」とした首相に対し、「少なくとも現行法に違反している」と強く抗議した。

 続いて質問に立った岩國哲人議員は「とりわけ国民に対する税負担の増加について質したい」と前置きし、定率減税の縮減をめぐり、政治判断と景気判断の両面から小泉首相の見識を質した。

 景気判断について小泉首相が多用する「踊り場」との表現を岩國議員が質したのに対して首相は「首相就任当初に比べれば、(景気は)上がっている。一気に上がるというのではなくひと呼吸おいている状況」と答弁。それを受けて岩國議員は国民に税負担を強いるからにはその判断根拠となる首相の景気認識が重要な意味をもつとの認識を示したうえで、森内閣時よりも15%下がったままの株価等を見ても、景気は上向きとする首相の認識は誤りとの認識を示した。また、首相が「踊り場」との表現を使った後、小渕内閣時には32カ月、福田内閣時には16カ月、森内閣時には14カ月の景気後退期が続いたことにも言及し、「踊り場」のあとに景気回復は見込めないとの認識を示し、税負担増に舵を切ろうとする小泉内閣の軌道修正、景気を一段と冷え込ませる定率減税の縮減の見直しを求めた。

 岩國議員はまた、先の衆院選挙で自民党が示したマニフェストには「増税」の文字が一切ない点も取り上げ、「そうした可能性にもふれるべき。その積み重ねが、国民の政治不信払拭につながる」と述べ、耳障りのいい公約だけを列挙した自民党の政治姿勢を批判した。さらに日歯連からの1億円ヤミ献金事件をめぐる橋本元首相の証人喚問実現を小泉首相に求めたが、首相は明確な答弁を回避。同時に迂回献金を明記した政治資金規正法改正案の成立を求めたのに対しても、小泉首相は党内規約で徹底していると繰り返すだけだった。

 質疑終了後、「平成17年度における財政運営のための公債の発行の特例等に関する法律案」(内閣提出)と同法律案に対する修正案(民主党提出)及び「所得税法等の一部を改正する法律案」(内閣提出)と同法案に対する修正案(民主党提出)について、一括して討論が行われ、民主党・無所属クラブからは村越祐民衆院議員が討論を行った。村越議員は、政府・与党の税制改革には「何らのビジョンもなく、国民にツケを押しつけるもの」などと厳しく指摘し、民主党提出の両修正案の優位性を強調した。討論の後、採決が行われ、民主党提出の両修正案は否決、内閣提出の両法律案は可決された。
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