参議院予算委員会で3日午後、民主党・新緑風会から福山哲郎参院議員が質問に立ち、島村農水相の「全頭検査は世界の非常識」発言、スマトラ沖大地震・津波災害への対応、厚生保険特別会計の問題、郵政改革のあり方などについて、首相をはじめ各大臣を厳しく追及した。
福山議員はまず、島村農水相が25日の衆議院予算委員会で、「全頭検査は世界の非常識。安全・安心に縛られている」という「けしからん発言」をしたことを厳しく追及。「全頭検査を実施している国を他にご存じか、日本だけだ」などと人を食ったような答弁を島村農水相は繰り返したが、「国民の皆さんが国産牛を安心して食べられるようになったのは、全頭検査で信頼感が高まったからではないのか」などと福山議員は質し、「発言を撤回するか」と厳しく迫った。島村農水相は自らの非を認め、「その通り受け止めていただいて結構です」として、「非常識」発言を撤回した。
続いて福山議員は、自らがスリランカの被災現場を訪れたことも踏まえ、スマトラ沖大地震・津波災害への政府の対応について言及。「今回の日本政府の対応は大変評価できる」としつつ、「継続的な支援を」と要請。現地の大使館員や自衛隊員に対して、精神的ケアなどの配慮を町村外相に求めた。また、一部大使館員の対応や邦人保護マニュアルなどに関する問題点も指摘。外相も対応を約束した。
また、洪水災害によって発生した大量の廃棄物の一時集積場として「市長の英断」で使用された、舞鶴市内の学校のグラウンドの修復費用にまで財務省が細かく介入した例を挙げ、「こういうことが、一事が万事だ」として、地方分権とはほど遠い現状を福山議員は指摘。谷垣財務相は、「基本的には文部科学省にやっていただく」として、直接の答えを避けた。
次に福山議員が取り上げたのは、厚生保険特別会計の問題。平成16年度から17年度の間に、積立金から約5兆2800億円が取り崩され、決算上の過剰も含めて約6兆5300億円が、「保険給付費等の財源に充てるための積立金からの受入見込額を計上」とされていることについて、実際にはこの『等』の部分が、年金住宅融資・グリーンピアノ後処理のための繰上償還費用に係る費用で、ここに約4兆1800億円が充てられているのではないかと、社会保険庁を厳しく追及した。『等』でない保険給付費が幾らかについて、社保庁は結局2兆円余であることを認めた。福山議員は、予算書にこうした「『等』で書いて中身の記載がない」カラクリを忍び込ませる官僚の体質を厳しく批判。「こういう表記の仕方でやっていること自身が、年金に対する不信感を増幅させているもとだ」と断じた。また、福山議員を指さして不規則発言をした村田国家公安委員長が、「おたくも関係あるよ」などと全く本質を外れた答弁をして委員会室が騒然となり、審議が一時中断する一幕もあった。
続いて福山議員は、およそ6億円を投じて展開されている郵政民営化についての政府公報の問題を取り上げ、まだ民営化法案の内容も定まらず、提出もされていない事実を指摘し、立法機関である「国会を冒とくしている」と質したほか、谷垣財務相の言う「適切な国債管理政策」の具体像が見えないこと、新勘定がリスクマネーに変わる事実を国民に明確に伝えていないこと、業務を拡大させた窓口サービス会社が地域経済を破壊しかねないことなど、様々な問題点を指摘。最後に、「この民営化のスキーム、反対も賛成も言っていないが、あまりにも分からないことが多すぎる。そして、あまりにも国民をミスリードする可能性がある」と述べて質問を締めくくった。
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