9日午前、参議院本会議において平野達男参院議員が、財政特例法・所得税法一部改正法の趣旨説明に対する代表質問を行い、首相および主要経済閣僚に対して経済・財政運営の基本姿勢を厳しく質した。
冒頭に平野議員は、所得税法一部改正法の中の定率減税の縮減を定めた部分はいわゆる日切れ法案として拙速に審議すべきものではないとして、法案審議を簡略化しようとする政府の姿勢を批判した。
具体的な質疑の第一として平野議員は、85年の先進五カ国によるドル高是正を目指したプラザ合意にもとづく経済・財政運営が、その後のバブル経済とその崩壊、それへの対策の結果としての空前の国債発行残高をもたらした事実を指摘した上で、小泉首相に対して当時と比較しての現状認識とプラザ合意の総括を質問した。これに対して小泉首相は、プラザ合意を乗り切った自信がバブルを生んだと自民党政権の責任を回避し、現在の経済運営は当時と比較にならない公債残高を抱えつつ行わなければならないため、民間活力に期待せざるを得ないとして政策選択の幅がないことを認めた。
第二に平野議員は、プラザ合意以来現在まで続いている為替介入について触れ、その現状と今後の必要性について質問した。これに対して谷垣財務相は、ドル買い残高は8406億ドルで、為替評価損失は11兆4000億円にも上ることを報告するとともに、今後の必要性については明確な見通しを述べなかった。
第三に平野議員は、個人消費が国内総生産を支えている現状を踏まえ、雇用者総報酬が伸び悩む中での定率減税の縮減は行うべきではないとの立場から質問した。これに対して小泉首相は、失業率は趨勢的に低下しており、経済は民需中心の回復を続けており、縮減は時期尚早とはいえないとの強気の答弁を行った。
第四に平野議員は、平成17年度末で538兆円になろうとする国債発行残高を指摘しつつ、国債管理政策・長期金利政策・基礎財政収支均衡のための名目成長率と名目金利の関係について質問した。首相は長期金利は政府・日銀が管理できるものではないと語り、経済担当相は平均的には名目成長率が上回っていると語るのみであった。
最後に平野議員は、年金保険料の事務費への充当について、年金制度への不信を取り除くためには根本的な見直しが必要だと質問したが、財務相は今後とも検討したいと述べるにとどまった。
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