参議院予算委員会において10日、年金・社会保障に関する集中審議が行われ、民主党・新緑風会の山本孝史議員が基礎年金改革などについて小泉首相らを質した。
山本議員は冒頭、9日に開かれた民主党と与党との幹事長会談での、年金制度の一元化を含む社会保障制度改革に関する協議についての議論に言及。「与党は国会外での協議を望んでいるが、民主党はすべての政党が参加して国会内で協議すべきとしている」として民主党の姿勢を示し、密室での協議には応じられないと念を押した。
続いて山本議員は、基礎年金の給付について、自営業者や学生など国民年金に加入する第1号被保険者、厚生年金に加入する第2号被保険者、サラリーマンの配偶者などの第3号被保険者など、立場に関わらず加入した月数に応じて支給される仕組みとなっている点に言及。「国民年金という一つの制度に入りながら、1号は定額、2号・3号は定率となっていて、給付は一元化されているが、負担の構造はバラバラだ」と述べ、国会議員や弁護士など高所得者も1万3300円の負担となっている一方で、低所得者も同額の負担を求められていることを明らかにし、「逆進性の高い制度となっている」と指摘。「負担が重いか軽いかも大きな議論だが、負担の公平かどうかの議論が必要」と問題を提起した。
また山本議員は、基礎年金の財源として、年金目的相続税の検討も提案した。小泉首相は「個別に使わない方がいい」などと答弁したが、山本議員は一つの案として十分な検討を加えるよう重ねて指摘した。
年金給付を2023年までに15%カットするとしているマクロ経済スライドに関して山本議員は、「大変大きな改革だ」との認識を示した上で、「このマクロ経済スライドが効くかどうかは経済が成長するかどうかにかかっている」として首相の認識を質した。首相は、「デフレが長く続くとは思わず、2006年度には克服できるよう努力していきたい」と答弁。年金制度と物価動向の関係について、「2006年度には、物価上昇率をプラスにするという、(政府の)見通しの通りになっていく」などと述べた。
この答弁を受けて山本議員は、「それは期待に過ぎない。政府の役割は正確な情報を国民に伝えることにある」と指摘し、安心への備えがないままに競争社会に突入した小泉政治に対して危機感を示すと同時に、安心を実感できる社会制度確立に向け民主党は力を尽くしていくと主張した。
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