菅直人代表代行14日、福井県連第7回定期大会に引き続き、「民主党と日本の課題」と題して記念講演を行った。
衆院千葉7区補欠選挙について「最高の勝ち方だった」と述べ、圧勝ではなく955票という僅差の勝利であったことで、知人に電話をかけたり、夜遅くまで駅前でビラ配りをしたりといった選挙応援に入った人それぞれが、「自分の努力が一票に繋がったのではないか」との思いを感じられる選挙となったとの見方を示した。また、選挙では知人を片っ端から掘り起こしていくといった作業が最後にはものをいうことを衆院千葉区補選は教えてくれたとも振り返り、「意義のある選挙だった」と重ねて語った。
また、「小沢一郎代表にとっても最後の政権交代のチャンス」と分析したうえで、参院選、次の総選挙へと勝利をつないでいきたいと表明。同時に「小沢代表が自転車を乗るなんて、まさにサプライズだったのではないか」と会場の出席者に語りかけた菅代表代行は、「自らを変えるというより、それくらい(小沢代表は)行動しているのだ」と語った。あわせて小沢代表について、口下手との評価は当たらないとも指摘。自分や小泉首相のように即座に言葉のやりとりをしないだけで深くて重みのある言葉をもっているとの見方を示し、代表就任後の2カ月あまりの間の色々な場面での発言を通じて「なるほどよく分かる人だとの認識をもってもらえたと思う」と述べた。また、昨年の衆院選で大敗を期し、そのうえ党の崩壊ぎりぎりの危機を体験したなか、「復活ができるチャンスを国民の皆さんに与えてもらい、再スタートが切れた」として、心からの謝意を示した。
さらに、小泉政権下での5年間を振り返り、リストラと企業の努力によって幸いにも不良債権処理と景気回復は進んできたものの、談合があるために高い税支出を強いられ、年間約10兆円にのぼる税のムダづかいの構造が何ら是正されないという談合体質が温存されている現状があると指摘。その問題の解決には、天下りをした会社には関係役所から発注させないとの取り決めを行えば、談合はなくなると小泉首相に提案して実行を求めたことも菅代表代行は明らかにし、「しかし総理には実行する意志はまったく見られない」と述べるとともに、郵便貯金会社の頭取のなり手がいないように、郵政民営化後の諸問題も今後噴出してくるだろうとの見方を示した。
「不良債権処理と景気回復。大きな借金、構造改革・税金のムダづかいが全く変わっていない。もう一つは地方の切り捨てだ」とも指摘した。出生率低下が続く都市部の問題も取り上げ、社会構造にゆがみが生じている象徴だとするとともに、「子どもを生み育てることができる農山村地域の復活」「食料自給率を回復して50〜60%にもっていく」ための民主党の農業再生プランを作り上げたことも紹介。3ヘクタール以上の農地所有者へのみ所得保障を行おうとする政府案よりも、民主党案の方が数段に地域の再生につながる農業政策であるとした。
さらに菅代表代行は団塊世代が大量の退職者となったとき受給者の増大で破綻をきたすであろう年金制度の問題等、団塊世代の社会への影響とその対策や、団塊ジュニア世代が直面している問題等も今後深く掘り下げていく考えを表明した。
「政策、法律をつくることが必要だと主張してきた張本人ではあるが」と前置きした菅代表代行は、「これからは政策や法律の前に色々な人が感じる『おかしい』『腹が立つ』を共有する運動をつくっていこうと思う」と表明。「実感のある運動とそこに一つの共感があり、運動となり、必要となれば政策になる。頑張ってそうした民主党にしていく」とも語った。会場には約200人が参加し、講演後の質疑応答では民主党への注文と期待が寄せられた。
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