21日、参議院予算委員会の総括質疑が前日に引き続いて行われ、まず前田武志参議院議員が質問に立った。
前田議員は冒頭、昨日来全国に大きな被害をもたらした台風23号に関し、亡くなられた方々に弔意を表するとともに、台風被害の状況などを確認。救出・救援活動の迅速化に向け、自衛隊の災害派遣要件を質した。
「大半は市町村長からの要請に基づき派遣している。また緊急を要するときは自主派遣している」との答弁を受けて前田議員は、「自衛隊のインフラ整備の初動出動は大きな役割を果たす」とし、国民の生命・財産を守るため迅速・的確な活動の実施を強く指摘した。
前田議員は続いて地球環境問題の議論に入り、京都議定書で定めた日本の温室効果ガスの削減目標(6%削減)が達成どころか目標値を14%オーバーする状況であることを小池環境大臣に確認した上で、環境省・経済産業省が連携して、削減目標達成に向け総合的に取り組む必要性を強く指摘。同時に小泉首相に対しては、地球環境改善という視点に立って京都議定書に批准するよう、米国のブッシュ大統領に強く働きかけるよう要請した。
前田議員はまた、荒廃が進んでいる山林の惨状を指摘。CO2吸収・保水・動植物の育成等の機能が失われていく現状を深刻に受け止め、国を挙げて、国の意志として森林の振興を進める必要性を指摘。解決の方向性として地球温暖化の防止や廃材の循環化や産業育成等に繋がる木質バイオマスのエネルギー利用推進に向けた国の支援を提示した。
覚せい剤・脱法ドラッグ、HIVやB型肝炎の問題等も取り上げ、国民の心身を蝕むこうした諸問題への早急な対応を、関係大臣に強く求めた。
続いて質問に立った福山哲郎参議院議員は、台風23号により全国で大きな被害が出ていることを踏まえ、関係閣僚に迅速な対応を求めた。また、Winnyの開発者が著作権法違反のほう助容疑で逮捕された事件について、ソフトウェア開発技術者の間で支援の動きが拡がっていること、同法違反ほう助で立件された前例がないと見られることなどにも触れながら、同ほう助罪の構成要件などを質すとともに、開発者の抱える不安感を改めて指摘した。
続いて福山議員は政治とカネの問題に議論の焦点を移し、南野法相に対して、日本看護連盟から南野後援会に、幾ら献金があり幾ら支出があったかなどを、まず質した。南野法相は、平成14年度に「2億円の寄付を受けていたと聞いている」と答弁した上で、「支出総額等については承知していない」「後援会は私の資金管理団体ではない」「運営や会計に口を出す立場にない」などと繰り返したあげく、「では、なぜ収入は答えられたのか」と福山議員が問い詰めると、「報道もされているし、その部分については知ることができた」と答弁するなどして、審議はたびたび中断。
「こういう業界丸抱えと自民党の関係は日本の政治の構造改革のうえで一番問題だ」と断じた福山議員は、小泉首相の後援会事務所費の問題についても追及。首相が500万円の事務所費を「切手代と電話代」としたことについて、政治活動費として領収書があり、つじつまが合わない点を指摘した。首相は「必要な事項を記載し、必要でない事項は記載しなくていい」と答えにならない答えを繰り返した。福山議員はさらに、首相の「政策秘書の使っている車の運転手はどちらで雇われている人か」を質したところ、首相は「民間会社の非常勤役員」であることを認め、「どこに雇われているかは公表する必要はない」とした。福山議員は、政治資金収支報告書に寄附として記載されていなければ虚偽記載の疑いがあると指摘し、「これでは疑惑が明らかにならないので、委員会等でさらに継続して調査をしていくことをお願いしたい」として質問を締めくくった。
|