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2004/12/10
【衆院拉致特】閉会中審査で4議員が質問 政府の対応を厳しく質す
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 衆議院の北朝鮮による拉致問題等に関する特別委員会が10日開かれ、民主党からは中川正春、長島昭久、渡辺周、松原仁各衆議院議員が質問に立ち、北朝鮮に対する経済制裁の発動などを求めた。

 中川正春衆院議員は、横田めぐみさんとされる遺骨が偽物だったことを受け「こうした局面のために経済制裁を可能とする法律をつくった。なぜ発動しないのか、その理由は」と問い質した。町村外相は「経済制裁は手段であって、目的ではない。含まれる」と曖昧に答えた。中川議員は「交渉の基本スタンスが違う。死亡を前提の交渉ではなく、生存を前提として臨むべき」と政府の交渉のスタンスそのものを批判した。その上で中川議員は、今回どうして北朝鮮がこうした偽物を出してきたのか、その背景はいろいろ考えられるが、「政府はどうこれを分析しているのか」を質した。これに対して町村外相は、北を利することになるので、答えられないとした。中川議員は「逃げており、国民に対する説明責任に欠けている」と厳しく批判した。最後に中川議員は、日本の持つ大きなカードとして、難民支援・救済を柱とする人権法案を民主党は準備していることを指摘し、与党にも協力を呼びかけた。

 続いて質問に立った長島昭久衆院議員は、「我々が目指すのは、北の体制の転換である」として質問。冒頭、「なぜ総理はこの委員会に出てこないのか。国民のすべてが今回の北の対応に怒りを覚えている。総理の対応に違和感を覚える」と小泉首相の対応を批判。細田官房長官は「国会での協議による」と熱意の欠片もない答弁。また長島議員は、「北と国交が正常化した時のメリット、国益は」と質した。町村外相は「安全保障上の理由が一番大きい。隣に実情の分からない国があることで、今は不安材料になる。これの解消が一番のメリットであろうと思う」と答えた。さらに長島議員は、北への経済制裁を発動した際の「リスクと効果を分析しているのか」明らかにするよう求めた。この質問にも町村外相は、「答えられない」と拒否。重ねて長島議員は「分析できる話。この説明を北朝鮮が聞いても、利益にならない」として追及。これに対しても町村外相は「重大と考えるから明かせない」と拒否した。

 次に質問に立った渡辺周衆院議員はまず、「経済制裁を行うことについてのシミュレーションはしているのか」を質し、町村外相は「色々な条件をおいてのシミュレーションは当然やっている」と答弁。さらに渡辺議員は、遺骨が偽物であるとの事態を「平壌宣言にもとる行為だ」と非難した上で、今後の政府の対応を具体的に質した。町村外相は、残る調査を年内に終え、「最終的な結果を踏まえた上での対応は年内に出さなければならない」とした。しかし村田国家公安委員長は、「その他の資料について、鋭意、検証・鑑定を進めている」「今の時点で、いつまでにということは、答弁は差し控えたい」と答弁した。渡辺議員は、「徹底して精査をしていただきたい」と強く要求するとともに、経済制裁も含めて、強い圧力を背景にした対話をしていくべきだと断じた。

 松原仁衆院議員(拉致特筆頭理事)は、遺骨が偽物であったことに怒りを表しつつ、今回の事態は「日本国が愚弄されたということ、許し難い」と断じ、「どのように外交に結んでいくかが政治の課題」だとした。また松原議員は、「怒るべきときには怒らなければならない」と述べ、政府の抗議が不十分と質したのに対し、細田官房長官は、「しっかりと全体像をもって政府の見解を当然伝えるべきだと思っている」などとした。松原議員は、「(北朝鮮に)経済制裁をしないのかと思わせてしまう」ことに危惧の念を示しつつ、従来通りの交渉方法で、「主権侵害、人権侵害」の拉致問題の解決ができるかに強い疑問を呈し、経済制裁の必要性を説いた。町村外相は、「(質問を)しっかり受け止め、今後の対応を過ち無きようにしたい」などと答弁した。

 質疑の最後に、「改正外為法や特定船舶入港禁止法等現行の国内法制上とり得る効果的制裁措置の積極的発動を検討すること」などとした「北朝鮮による日本人拉致問題の解決促進に関する件」の委員会決議が、民主党・無所属クラブと自民党、公明党の三派共同で提案され、笠浩史衆院議員が決議案文を読み上げた上で、総員賛成で可決された。

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