前原誠司代表は19日、党首討論後に国会内で記者団に答え、「予想していた通り、(総理は)まともにお答えにならないし、お答えにならないということ(を通じて)は外交や国の安全保障について明確にお考えになっていないことが明らかになった」と語った。
前原代表は、二大政党制に向かうなか、昔のように右か左かというイデオロギーの対立ではなく、外交安全保障という国の基本にかかわる問題については、パワーゲームのなかでの外交を日本としてどう乗り切っていくのかという日本の主体性、日本の意志が問われていると指摘。それを実行する上で必要となる戦略性こそが党首討論では通じて掘り下げたかった点だとしたうえで前原代表は、「しかし私にとって満足のいく回答はなく、一国の総理が外交安全保障でああいう定見のなさでは非常に悲しい思いがした」と印象を語った。
「現実的な提案、戦略性とか主体性とかを提案するなかで、むしろ国民の皆様方にこれからの2大政党制のあり方の(なかでの)外交安全保障の姿、議論の形というものを提案したいと思ったのが、(今日の党首討論における)私の一番の本心だった」と重ねて述べた。米国だのみではなく日本独自の情報収集機能の必要性を指摘したのに対して小泉首相が「現状維持で仕方がない」と回答したところに象徴されるように、小泉首相の戦略性のなさについては「情けない思いがした」とも語った。
また、米軍再編に伴う沖縄基地問題に関しては、11月のブッシュ大統領来日前までに具体的地名も含めて基地再編については責任をもつと明言した首相に対し、「しっかりと責任を果たしていただきたい」と改めて言及。注意深く見守っていく考えを示した。
さらに小泉首相の靖国神社参拝問題については「人の心にふれる話なので、もう少し冷静に話をしたかった」と述べるとともに、参拝を否定するものではなく、日本国総理大臣は私人か公人なのかという問題と国益を考えたとき、とるべき行動はどうあるべきかを聞きたかったと説明。「いつもの紋切り型の靖国参拝のことしかおっしゃらない。そこは残念だった」と指摘した。
党首討論の意義を問われたのに対しては、「私が逆の立場だったらもっと真剣に答える」とした上で、まともに答えない小泉首相の姿勢が続く限り党首討論の形骸化につながるとの見方を示し、「国民にとってそれは不幸なことだと思う」と語った。
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