20日午後に衆議院総務委員会が開かれ、議題となった内閣提出の給与法関連法案に対して、民主党・無所属クラブから、渡辺周、逢坂誠二、福田昭夫各衆院議員が質問に立った。
渡辺議員は、民主党が衆議院に提出した「国家公務員法の一部を改正する法律案」に言及しつつ、中小規模の民間企業も含めて地域の民間賃金と公務員の給与水準を調査する重要性を指摘。また、各種手当については「バランスをとる」ではなく、必要性・合理性が認められるかという観点から検討を加えるように求めた。
さらに渡辺議員は、国費留学した国家公務員が早期退職した際の費用返還問題を取り上げて、国内留学や独立行政法人勤務も対象になるかを質した。人事院からは、法案制定を求めた意見書には国内留学も対象にしており、独立行政法人については政府が検討することを期待するなどとの答弁が行われた。
続いて質問に立った逢坂議員は、公務員給与が地域経済と連動する性格のものか疑問を呈した上で、地域手当の導入に関して「中央集権型から分権型に日本の社会が変わりつつある中で、東京を頂点とする賃金のヒエラルキーを公務員社会にもたらすのではないか」と、地域格差拡大への懸念を示した。麻生総務大臣は、格差ではなく特色ある地域が出てくる時代になるとの見解を示した。
逢坂議員はまた、勤務実績制度の導入について、現場に混乱のない運用を求めるとともに、関連団体からのヒアリングなど、きめの細かい対応を行うよう要請した。
福田議員は、国家公務員総人件費に関する今回の改革が地方に与える影響に関して質問した。国家公務員の定数管理に関しては「地方に事務事業を移管するという観点から見直しが必要」と分権の推進を求めるとともに、諸外国と比べて日本の公務員数はそれほど多くはないと述べ、人件費削減の視点が先行する状況に釘をさした。
福田議員はまた、「労働基本権の付与を含めて真の公務員制度の改革に向けて労使が十分話し合うこと」「来年度予算編成にあたって、安易に増税に頼らず、歳出削減を基本とし、財政健全化の指標であるプライマリーバランスの黒字化の年次目標を明確に定めること」の二点を政府への要望として挙げた。
委員会の採決で、法案は、民主党・無所属クラブを含む賛成多数で可決された。また、民主党・無所属クラブ主導で4会派共同提案となった公務員制度改革に関する決議案について後藤斎衆院議員より趣旨説明を受け、賛成多数で採択した。
決議は「公務員制度改革を検討するにあたっては、労働基本権のあり方も含め、職員団体等の意見を十分聴取し、その理解を得るよう最大限努力すること」、「公務員総人件費の規模の見直しを検討するにあたっては、財政的見地のみならず、地方分権の推進や少子高齢化の進展など、情勢の変化に対応した国地方の公共サービスの適切な役割分担、公務労働の適切な配置について広く国民的議論を行うよう努めること」への配慮を政府に求める内容。
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