党パキスタン地震支援対策本部は20日、若林秀樹参議院議員を団長に藤田幸久国際局副局長らが12〜16日の間現地入りして行った調査状況を報告するとともに、今後の対応について話し合った。
司会進行の同対策本部事務局長の田嶋要衆議院議員は、同日午前、現地調査に基づき、前原誠司対策本部長が政府に対し、「パキスタン等における地震災害への今後の対応についての申し入れ」とする文書を細田官房長官宛てに手渡したことを報告。調査団報告会を通じては、「情報を共有し、野党として迅速な対応をとり、危機管理能力を高めていきたい」と語った。
報告に立った若林団長は「一言でいうと、想像を絶する状況だった」と述べた上で、スライドを使って現地の状況を説明。「日本のマスコミはJICAの方の遺体が日本に帰ってきた途端、情報(発信)がなくなっているが、実はまだまだ被害は広がっている」と語り、パキスタン側で4万7700名、インド側で1300名が亡くなったとするパキスタン政府の情報についても指摘。「3日前までは(地震発生後)1週間経っても3万8000人だったのがいきなり4万7700名と増えたのは、政府が(正しい情報を)隠しているのではないかとの見方もある」とし、被害者数は10万人に達しているのではないかとの指摘もあるとした。
また、1000の病院・クリニックと1000の学校が崩壊し、約400万人の方が家を失っているなか、本格的な冬を迎え、積雪が見込まれる情況にあることに若林団長はふれ、現在一番に求められるのはシェルター・避難所であるとの見方を示し、「一にテント、二にブランケット、三にテントという情況だ」と語った。政府に手渡した申し入れ文書にも示した通り、日本政府としてはテント・毛布の供与だけでなく、自衛隊によるテントの設置も含めて検討し、また、緊急医療支援の体制の拡充も不可欠だとした。
同時に、地震が発生したカシミール地方は、パキスタンとインドが半世紀以上にわたって領有権を争ってきた地域であることに言及した若林団長は、「これを機に和解が進めばいいなという願望もある」として、そうした働きかけも日本政府として行っていくべきとの考えを示した。
さらには、日本の緊急援助隊の活動エリアが相対的に被害が少ないところであつたことに関しては、「できることを提示して現地ニーズを踏まえるべき」と若林団長は指摘。現地政府の要請のままに行動するだけでなく、可能な援助内容を自ら提示することで、より有効な活動を展開できる体制を整えていくべきだと緊急援助隊の課題を示した。
また、現地までは商用機を乗り継いで移動したために到着までにはかなりの時間を要したことも問題視し、「初動時間72時間というのが生存者救出という意味では重要」と指摘。現状改善に向けては、乗り継ぐことなく現地に到着できるよう、100人ぐらいが乗り込める上に離発着という点でも機動力のある中型政府専用機の整備の必要性を指摘した。同時に、他国と比べてバックアップ体制が整っていない日本政府によるNGOの支援体制の問題にもふれ、情報の一元化と財政支援体制の早急な確立の必要性も指摘した。
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