前原誠司代表は25日午前、都内で、アメリカン・エンタープライズ公共政策研究所(AEI)主催の会議に出席し、「日米同盟の強化と課題 繁栄による世界平和と幸福の実現を目指して」と題して基調講演を行った。
前原代表は冒頭、民主主義と自由主義経済に支えられた日米同盟は、アジア太平洋地域の平和と安定に貢献してきたと指摘し、「繁栄を通じ、平和で豊かな世界とアジアを構築することこそ、日本とアジア地域にとっての究極的な安全保障・防衛になる」と述べた。
その上で、アジアの繁栄に対する21世紀の課題として「中国の台頭」「グローバル化の加速」「国家ではない組織の脅威」の三点に言及。中国については、友好的な関係を構築できるかが将来の日本外交への試金石であるとし、資源エネルギー問題を指摘した。さらに、地理的境界に制約されない国際テロ組織などの非国家アクターの台頭に触れ、各国の安全保障にも直接的に影響を及ぼす観点から、アジア各国の指導者が真剣に対策に取り組むべきとの見解を示した。
続いて前原代表は、日本がとるべき「戦略的で自立的な外交安全保障政策」について、四点を列挙。在日米軍基地問題については、SACO合意の速やかな履行が不可欠だと指摘した。また、北朝鮮問題については、6者協議という多国間の地域の枠組みを重視し、中国の前向きな態度を引き出す外交が求められるとした。さらに「東アジア共同体の構築を否定するものではないが、アメリカの関与が望ましい」と表明し、米国をアジア経済の中につなぎとめるため、米国とのFTA交渉など、効果的な地域的枠組みを推進すべきとの考えを示した。さらに、日本独自の情報収集・分析・評価のインテリジェンス活動を早急に強化する重要性について述べた。
前原代表は「他国との協調関係、特に日米同盟関係の絆をしっかりと戦略的・具体的に見極めることによって、地域・世界の平和と安定が築けるという観点から、政党・政治家として頑張っていきたい」などと決意を表明して締めくくった。
講演後の質疑では、HUMINT(人による情報収集活動)の拡充、中国の軍事的増強への対応、日韓関係について、会場から見解を求められた。
前原代表は、情報収集・分析・評価機能の強化に関して、民主党が与党へ緊急事態基本法の制定を呼びかけているとし、縦割りで情報が共有されず、政策へ落とし込むまでの使い方がされていないと問題点を指摘し、英国の組織の仕組み作りが参考になるとの見解を述べた。
中国の軍事力の問題については「毅然とした対応をとることによってのみ、力による増長を押さえられる」との見解を表明。天然ガス問題にも言及し、民主党による海洋権益法案の提出に触れ、法的措置をとり安全を確保したうえで、日本も開発をするという強い姿勢を見せなければと指摘。将来を見据えた装備の展開や日米同盟関係の役割分担という面から準備をすべきとの認識を示した。
日韓関係については、歴史問題の総括、無宗教の国立追悼施設、FTAの検討を進めるべきなどと語った。
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