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2005/02/16
「食育基本法案」に対する見解について
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※法案の概要



「食」に関する知識と「食」を選択する力を習得し、健全な食生活を実践することができる人間を育てる「食育」について、国・地方公共団体・各種関係者・国民の責務や、食育推進基本計画等の策定を定めるとともに、下記の基本的施策を規定。



家庭における食育の推進 

学校・保育所等における食育の推進 

地域での食生活改善の取組推進 

食育推進運動の展開 

生産者・消費者の交流促進 

農林漁業の活性化 

食文化継承活動への支援  

調査・研究・情報提供・国際交流の推進 



内閣府に総理を会長とする「食育推進会議」を設置するとともに、「食育担当大臣」をおく。



※法案の問題点と民主党の対応について



現代の食生活においては、不規則な食事や栄養の偏り、ファーストフードの氾濫などに加え、遺伝子組替食品や輸入食品等における安全性の問題など、さまざまな課題を抱えている。しかしながら本来、「食」とは個々人の選択と自由にまかせられるべきものであり、個人の「権利」たるその内容について国家が介入すべき性質のものではない。もとより健全な食生活のあり方を国が規定し、しかも基本法のかたちで、国民に協力や責務を押し付けることは慎重に考えるべきである。


また本法案は、国民や関係者に協力や責務を課す一方で、具体的施策については訓示規定に留まっていることから、法制定により何らかの直接的効果が生じるものではない。すでに文部科学省や厚生労働省が独自の施策を推進している状況を鑑みると、ことさら基本法を制定しなければならない積極的な理由は認められない。


そもそもわが国の食品行政は、さまざまな矛盾を抱えており、消費者が健全で安全な食生活を送るうえで、その前提となる環境が整備されているとは言い難い。「食に関する知識と、食を選択する力を習得し、健全な食生活を実践する能力を育てる」という「食育」の基本理念は理解できる面もあるが、健全で安全な食生活のための環境整備がないままに、「食育」の名目で法律を制定し国民に協力を強いることは、国の責任放棄であり、本末転倒だと言わざるを得ない。これら消費者の選択にかかる環境整備こそ、国が優先して取り組むべき事項である。

◎ 民主党としては、「食育」に謳われた基本理念は、基本法を制定することではなく、既存の各種制度・法律を改善していくなかで消費者の権利の観点から実現していくべきと考える。よって、実態の伴わない名目だけの法制定はむしろ行うべきでなく、本法案には反対することとしたい。


以 上

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