総選挙の大きな争点の一つになろうとしている高速道路政策をめぐり、民間団体の主催するシンポジウムが24日夜、東京で開かれ、民主党からは菅直人代表が出席してマニフェストに盛り込んだ高速道路無料化案の考え方を説明した。
パネリストのうち『日本列島快走論』の著者である山崎養世氏は、高速道路無料化の代表的論客。「徳島・神戸間を毎日往復する人は、無料化すれば30年間で9000万円の通行料負担がなくなる。日本国民全体では1200兆円の経済効果がある」と分かりやすく説明したうえで、日本にとって高速道路無料化は(1)財政再建策(2)経済再生策(3)過疎・過密の緩和策−−のそれぞれの面から有効だと力説。
有料道路研究センター代表の緒方弘道氏は、(1)無料化できるかできないかではなく、無料化は間違った考え(2)これまで無料としていた諸外国でも有料化への動きが強まっている(3)40兆円もの道路公団の債務を低利の国債に借り換えることは困難−−などと無料化に反対する一方、民営化についての賛否も保留した。
環境自治体会議の上岡直見氏は、(1)現政権の言う民営化論は表札のかけ替えにすぎない(2)無料化自体が政策目標でなく、環境的・社会経済的な数値目標のためのいくつかの選択肢の一つ(3)交通は物理現象である以上、結果への期待だけではなく検証が必要−−とし、いっそうの車社会をもたらしかねない高速道路無料化よりも、より環境負荷の少ない公共交通の整備を進めるべきだと主張。
ジャーナリストの櫻井よしこ氏は、民営化案については道路行政改革が道路公団民営化だけに矮小化されるとし、「道路行政の見直しに踏み込んでいる無料化案の方がすっきりする」としたが、同時に「公団に代わって高速道路を作る国の官僚支配をどう打ち砕けるかが課題だ」と指摘。また、「すべての政党がマニフェストという形で政権公約を出し、政権選択が初めて具体性を持った初めての選挙。道路行政の闇をどう打ち破るかがどれだけ具体的に書かれているか、よく見比べるべきだ」と述べた。
これらの意見に対して菅代表は、「小泉首相が無料化などできないと言っている以上、まずできるかできないかに決着をつけなくてはいけない。官僚支配については政府のあり方という抜本のところから変える。私は高速道路無料化をマニフェストにした以上、3年以内に実現する。できなければ辞める。それが政権交代だ」と決意を述べた。
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