第163特別国会が召集された21日、衆院本会議終了後に前原誠司代表は国会内で記者団に答えた。
本会議の首相指名選挙で、自民党の小泉総裁が第89代首相に指名されたことに関して、票の差をどう受け止めるかを問われ、「議場に入って、3分の2というのは相当な数だと(改めて思った)。私が以前座っていたところも、全部自民党議員の席だし、投票している議員もほとんどが自民党議員という感じで、うんざりするほど自民党議員がいる気がした」と率直な感想を示した。
「いずれにしても、これは民意なので尊重しなければならない」と述べつつも、この自民党議員がすべて小泉首相に対し、「イエス」を表明することになった場合、「まさに国会、議会、立法の府、議論の府の危機。だからこそ、野党第一党である民主党の役割は極めて大きいと改めて感じた」と語った。
一方で、自らに114票が投じられたことをどう受け止め、今後小泉首相とどう対峙していくかを問われたのに対しては「首班指名で自分の名前を書いてもらうのは、当然ながら初めて。114名の方に書いていただいたことは極めて重い」と表明。
「しかもその後ろには負けた方も含め、2480万人の方が民主党に投票して下さっていることをしっかり胸に刻んで、正しいことは応援する。おかしなことは徹底的に対論を出して反対する」として、国会での議論を活発化し、まさに国民にわかりやすい議論を繰り広げていく考えを強調した。
また、郵政民営化法案の審議をめぐっては、郵貯・簡保の抜本改革は必要とする民主党の従来からの主張を明らかにした上で、「政府案は民営化ではあるが、結局は民業圧迫、官の肥大化を生むと懸念している」と指摘。衆院選で民主党が示したマニフェストにも明示した郵貯の預入限度額の段階的な規模縮小の法案化作業を急ぎ、今国会で提出していく考えを改めて表明した。
記者団とのやりとりのなかで、対案を出すことの意味を問われた前原代表は、与党が3分の2以上占める現状にあっては、民主党が対案路線を主張しても、議論にさえも付されないことは往々にしてあるとの見方を示したうえで、「われわれは対案を出しているが数の横暴で議論さえしてもらえないことを国民のみなさんにお伝えすることによって、『自民党に勝たせすぎた』『議論の府が全く機能していない』ことを、事例の積み重ねの中で国民の皆様に示していきたい」と語り、「仮につぶされて議論されないとしても、私の対案路線は微動だにしない」と強調した。
さらに、後藤田正晴元副総理の逝去については「大変立派な、政治家というより人間として極めて凛々しくて、尊敬できる方であって、亡くなられたことを残念に思っている。心からご冥福をお祈りする」と語った。
その上で前原代表は最も印象に残っていることとして、「中曽根首相時代に官房長官として靖国神社の参拝に際し、総理・外務大臣・官房長官は靖国神社を参拝しないと決められて、体外的な配慮を行ったことが日中・日韓関係を非常に良くしてきた」と語り、自民党の議員にもう一度想起してもらいたいとの考えを示した。
「外交安全保障は党利党略だけで足を引っ張り合うだけのものではないし、自民党の副総裁までやられた方がそういった考え方をもって、日本の立場をしっかりと主張しながらも、アジアとの関係、善隣友好関係を築いてこられたことをもう一度想起してもらって、今のガタガタのアジアとの関係を、後藤田先生が逝去されたことをひとつの節目にして、何とか考え直していただきたい」と重ねて主張した。
|