参議院予算委員会が26日に開かれ、民主党・新緑風会の江田五月議員が質問に立ち、町村議会議長全国大会で「三位一体改革」の内容についての言及を避けた首相を批判。方向性を明言すべきだと指摘した。
江田議員はハンセン病元患者に対する熊本のホテルの宿泊拒否問題も取り上げ、「国の誤った政策で社会に植え付けられた偏見が簡単に消えないことの現われ」と指摘した上で、啓発を政府として推し進めるよう野沢法相、坂口厚労相に要請。また、在日ビルマ人キンマウンラ氏一家の強制送還について、政府として特別在留許可を認めるよう首相や野沢法相に繰り返し強く求めたが、首相は「(強制送還は)やむを得ない」とし、法相も「私の裁量で左右してはいけない案件」などと要請を拒絶した。
イラクへの自衛隊派遣問題をめぐっては「情勢が悪化しているとの認識はあるか」と質したのに対し、首相は一面では認めながらも「国際社会が協調して(対テロ対策に)応えていく必要がある」と繰り返し答弁するだけだった。
また江田議員は、日本道路公団の近藤新総裁に公団改革の「基本的考え方」を質した。近藤総裁は、民営化後の経営形態は上下一体とする、新会社の自主判断権を最大限確保する、などの考えを明らかにした。
続いて関連質問に立った海野徹議員は、首相がイラクへの年内の自衛隊派遣の有無について「状況を見て判断する」と逃げの答弁を繰り返していることを批判し、「いかなる状況について、何を基準に判断するのか」と詰め寄った。しかし首相は、相変わらず判断の内容には触れず「年内に出すとか出さないとか言っていない」などとごまかし、石破防衛庁長官も「基準は、法律に定められた要件を満たせるかどうか」と抽象的に述べただけだった。海野議員は、「大義も説明もないから国民の中に派遣への反対論が増えているのだ」と厳しく指摘した。
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