民主党憲法調査会長
枝野 幸男
民主党は26日午後、国民投票法案(「日本国憲法の改正及び国政における重要な問題に係る案件の発議手続及び国民投票に関する法律案」)を衆議院に提出しました。法案は、日本国憲法第96条に定める憲法改正についての国民投票とともに、国政における重要な問題についての国民投票に関する手続を一体のものとして定め、あわせて憲法改正の発議と国政問題についての国民投票案件の発議に関する国会法上の手続の整備を行うことを定めるものです。
衆議院憲法調査特別委員会と参議院憲法調査会での昨秋以来の論点整理の議論の結果、今回提出された与党案と民主党案は多くの点で共通の考え方に立っています。特に、少なからぬ点で与党が民主党の主張に率直に耳を傾け、それらを取り入れていただいていることには深く敬意を表します。しかし、なお次に挙げるいくつかの点で民主党案は与党案と内容を異にしています。
(1)憲法改正国民投票だけでなく国政の重要問題に関する国民投票制度も一体として導入するとしていること。
(2)原則として18歳以上の日本国民が国民投票の投票権を有するとしていること。また、公職選挙法の選挙権年齢や民法の成年年齢なども18歳に引き下げることを基本に、本法律の施行の日までに関係法令の規定の見直しを行うとしていること。
(3)賛成する者は投票用紙に○印を付け、投票総数の過半数の賛成があった場合に国民の承認があったものとするとしていること(所定の投票用紙を用いない投票以外は、他事記載などもすべて反対票とみなす)。
(4)国民投票運動をすることのできない特定公務員を選管職員などに限り、裁判官や警察官も運動を行えるとしたほか、公務員・教育者等の地位利用による運動についても特別な禁止規定を設けないとしていること。
(5)政治的表現と国民投票運動の厳密な区別が困難であることから、国民の自由闊達な議論や表現を保障するため、国民投票運動に関する規制は最小限とし、買収罪の規定もおいていないこと。
日本国憲法の立脚する国民主権原理は、憲法第96条の規定、すなわち憲法制定・改正の権限が国民自身にあるという点に究極的に表現されています。この意味で、国民投票法案は、現憲法制定後60年の歴史の中でも最も重要な立法としての意義を持つものです。今後の法案審議が十分実りあるものとなり、法案提出会派以外の会派の皆さんも含めた幅広い合意の中で法案の成立が図られるよう、民主党は努力する所存です。
※ 以下のファイルのうち、与野党の相違点メモ、与野党法案要綱対比表は、衆議院法制局が作成したものです。
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