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2006/05/16
【衆院本会議】鳩山幹事長、教育基本法改正案の出し直し求める
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衆議院本会議で16日、教育基本法改正案の趣旨説明と質疑を行われ、審議入りした。民主党・無所属クラブからは鳩山由紀夫幹事長が質問に立ち、小泉首相はじめ関係大臣に対し、検討不十分で真の主権者たる人材の育成は望めない政府案の問題点を指摘した。
 
 冒頭、目を覆いたくなるような事件が続発し、社会の荒廃が進んでいる今こそ、人づくり・教育改革が求められていると語り、そうした認識があるとは思えないと小泉首相の政治姿勢に疑問を呈した。疑問視する理由の第一として、教育基本法という国の根幹にかかわる重要法案を、国会終盤に突然提出する姿勢について「教育を軽んじている証左だ」と述べ、「密室の中で、自民党の主張する『愛国心』と公明党の主張する『宗教教育』とをバーターするなどもってのほかだ」と一喝した。理由の第二としては、教育基本法が憲法の付属法であるからには、本来ならば、新しい憲法の中で謳われる教育の方針に沿って改正されるのが筋であると指摘した。

 そのうえで、民主党では歴史認識、来るべき文明・時代について考察の末、鳩山幹事長の持論でもあった「学ぶ権利や文化コミュニケーション権の充実」を憲法提言のなかにも盛り込み、そうした議論と連動して、日本国教育基本法案要綱をまとめたと表明。一方、教育に関する新たな考え方は全く示されていない自民党の憲法改正案については、あるべき憲法の議論を行った上で、出し直すべきだと首相に問題提起した。
 
 続いて、疑問を呈する第三の理由として、そもそも教育基本法の改正は、衆議院文部科学委員会で議論すべきとの主張を展開。同時に、小泉首相の「公約を破ることなんて大したことではない」などと言った軽佻浮薄な言葉や、刺客を放つなどと言った行為こそが、子どもたちに悪影響を与えるとして、法改正よりも先に、為政者の軽さこそ改めるべきではないかと厳しい口調で批判した。
 
 党の総意として「日本国教育基本法案」を近く国会に提出すると改めて表明した鳩山幹事長は、民主党案と政府改正案のどちらが真剣に子どもたちのことを考え、教育現場が抱える問題を本気で解決していこうとしているか、大いに議論しようと首相に呼びかけ、特別委員会では民主党案も含めて議論するよう、首相に強く求めた。それに対して首相は「民主党が対案をまとめたことは歓迎する」と答弁し、前向きに対応するとの意向を示した。

 また、格差問題解決のためにも教育基本法の中では、学ぶ権利が国民にあることをしっかりと明記する必要があると指摘し、政府案において一番大事な「学ぶ権利」や「教育権」が誰にあるのかが明記されていない点を問題視した。さらには、学ぶ権利は国民だけでなく、日本に住むすべての人々にあるべきだとして、政府改正案の第4条で定める教育の機会は「すべて国民」ではなく「何人も」に対して保障すべきものだと主張した。

 続いて政府改正案にある「国を愛する心」をめぐって質問。「『国を愛する心』を健全な形で、自然な結果として、国民が持つことは当たり前の話。国を愛する心は必要だ」との意見を披瀝したうえで「しかし、強制的に押し付けられるものであってはならない」と強調。民主党案では、目指すべき教育について前文で、「自然に水がしみこむように徐々に養い育てる」という意味を表す「涵養」という言葉を用い、「日本を愛する心を涵養し」と謳っていると説明した。「国を愛せ」と一方的に押し付けても育つものではないとも語った鳩山幹事長は、政府改正案にある「我が国と郷土を愛するとともに、他国を尊重し、国際社会の平和と発展に寄与する態度」とは具体的にどんな態度かを質した。首相は、「わが国を愛し発展を願い、そえに寄与しようとする態度だ」などと答弁するに留まった。
 
 現行基本法において、特定の宗教のための宗教教育を禁止する規定が拡大解釈されて、宗教心や倫理観の涵養までもが教育の場から忌避されてきた嫌いがある点も鳩山幹事長は指摘。命の大切さや生命に対する畏敬の念、人間の尊厳の大切さを認識し、宗教的な感性を養うという観点で宗教的情操教育の充実が必要だとの考えを示した。さらに少子化問題への解決を考えた場合、民主党案に盛りこまれた幼児期の子どもに対する無償教育の導入や政府が責任をもって行う公教育への財政支出、ニート問題対策を踏まえた職業教育の振興、インターネット社会の進展が子どもの成長に大きな影を落としているとの観点からの情報文化社会に関する教育の充実、教育の多様化のニーズに応えるための建学の自由の重視といった点を、新たに盛り込むべきとの主張を展開した。

 最後に「人なくして国なしです」と強い口調で語った鳩山幹事長は、自立しつつ、お互いに違う個性を尊重しながら共に生きていく平和な世界をつくるためにも、自由と責任についての正しい認識と、人と人、国と国、人類と自然との間に、共生・友愛の精神を醸成することこそが求められていると主張。「真の主権者たる人材の育成は、民主党が政権を担い、民主党の日本国教育基本法によってしか実現しない」とも述べ、質問を終えた。

関連URL
  「日本国教育基本法案(新法)」要綱(民主党案)について
 http://www.dpj.or.jp/news/?num=56
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