民主党の鮫島宗明『次の内閣』ネクスト農林水産大臣と和田洋子ネクスト農水副大臣は27日午前、米国産牛肉の輸入再開に向け、輸入再開条件について実務者レベルでの詰めを行うと同時に日本の消費者とのコミュニケーションを行うために来日中のランバート米農務省マーケティング・規制担当副次官、ダニエル・バーマン米国大使館農務担当公使、福田久雄米国大使館農務専門官らと米国大使館で意見交換した。
意見交換後に国会内で記者会見した鮫島ネクスト農水相はまず、「日本政府に圧力をかけるだけでなく、消費者への説明を」と求めたのに対し、ランバート副次官が従来と異なり、日本の消費者との直接対話に重きを置く姿勢を示したことを明らかにした。
鮫島ネクスト農水相はまた、米国のBSE感染牛について米国政府が「カナダから買ってきたもので自国は汚染国ではない」との認識を示していた点をめぐる議論にも言及。「日本もEUも、米国とカナダは一体的な畜産地域と見ているがどうか」との鮫島ネクスト農水相の指摘に対し、ランバート副次官は従来とは異なりその指摘に同意した。
さらに鮫島ネクスト農水相が、BSEの感染防止に不可欠であるにもかかわらず、米国の会計検査院が「検査体制が不十分」との報告をまとめるなど、輸入再開を検討する前提としては実態解明が不可欠な飼料規制の問題を取り上げ、議論した。鮫島ネクスト農水相の指摘に対してランバート副次官は「日本では大きなニュースになっているらしいが、会計検査院の小さなニュースはアメリカにとって関心事項ではない」などと回答。同院の指摘は動物性たんぱく質の飼料工場の検査は毎年行われているが、植物性たんぱく質を扱う飼料工場の検査が不十分だとするもので、「肉骨粉規制とは関係ない」などと発言した。
全頭検査に関連して鮫島ネクスト農水相が「日本向けの牛肉については日本の消費者の求めに応じ、サービスで全頭検査をして輸出するという方向性を選んだときにどういう態度を取るか」と質したのに対しては、ランバート副次官は「行政指導で禁止する」と回答。「検査を行ったからといってBSEフリーが証明されるわけではない。したがってそうしたテストは意味がない」などと述べた。ランバート副次官は安全確保に向けては危険部位の除去が唯一確実な方法だと重ねて語り、全頭検査は徹底して行わない姿勢を一貫して示し、消費者の安全確保重視の鮫島ネクスト農水相の認識とは最後までかみ合わなかった。
米農務省の印象について鮫島ネクスト農水相は「BSE発症に関して日本と比較して軽視している印象を強く感じた」と語り、リスク軽視の姿勢を深刻に受け止めた。
|