トップ > ニュース
ニュース
ニュース
2004/02/25
民主党の児童虐待防止法等改正案について
記事を印刷する

ネクスト子ども政策担当大臣 原口一博
同総括副大臣 山花郁夫


児童虐待防止法は、民主党が先駆けて法案検討に着手し、最終的には全党派が賛同する形(衆院青少年問題特別委員長提案)で、2000年5月に成立しました。この法律の制定は、児童虐待防止対策に一定の成果を果たしましたが、近年の虐待事件の増加・深刻化に対応するには、様々な限界も明らかになってきております。
 そのため、現在、超党派レベルで法律の見直し・強化が検討されており、民主党においても、精力的な検討を進めてきたところです。
 2月25日、民主党は独自の児童虐待防止法等改正案(別紙参照)をまとめました。子どもの人権擁護、虐待児童の安全確認と早期救済策、中央児童虐待防止会議の設置などを主な柱としています。今後、こうした考えをベースに政党間協議に臨み、実効性ある法改正に取り組んでまいりたいと考えております。


◎民主党の児童虐待防止法等改正案のポイント

児童虐待防止法関係


1.「児童の人権擁護」の明記(1条関係)

 児童虐待は、児童に対する重大な人権侵害との認識から、法律の目的に「児童の人権擁護」を明記します。


2.児童虐待の定義の拡大(2条関係)

 現行法では、児童への暴行・わいせつな行為・著しい減食・長時間の放置などが「児童虐待行為」とされています。これに、児童に対する著しい暴言、拒絶的な態度、家庭内での配偶者への暴力(DV)など子どもに心理的外傷を与える行為も「虐待行為」であることを明確化します。
 また、虐待行為を行う者としての対象は、現在、保護者(親権を行う者、未成年後見人その他、児童を現に監護する者)とされていますが、これに「保護者以外の同居人」も対象者として加えます。


3.中央児童虐待防止会議の設置(4条関係)

 総理大臣等の諮問に応じて、児童虐待の防止、被虐待児の保護及び自立支援について調査・審議し、必要があれば総理及び関係大臣に意見を述べるための「中央児童虐待防止会議(議長:総理大臣)」を内閣府に設置します。


4.児童虐待に係る通告(6条関係)

 「虐待を受けた児童を発見した者」は速やかに通告せよとの現行規定について、「虐待を受けたと認める児童を発見した者」に改めます。これにより虐待の早期発見が期待できます。


5.通告を受けた市町村または福祉事務所、児童相談所の役割(8条関係)

 通告を受けた機関等の安全確認の努力義務を、安全確認義務に改めるとともに、児童の安全の確認は、虐待の通告後48時間以内に行うよう努めなければならないものとします。


6.一時保護できない場合の児童保護規定の新設(10条の2関係)

 児童相談所が、保護者等の拒否によって児童の一時保護ができない場合で、当該児童の生命・身体に重大な危害が生じるおそれのあるとき、児童相談所長は、(1)人身保護法を適用して家庭裁判所に当該児童の救済請求をする、(2)所轄の警察署長に通告する、のいずれかの措置を講じなければならないこととします。

※ 人身保護法では、裁判所が児童を出頭させるよう保護者に命令し、違反した保護者には制裁が科されます。裁判所が保護者の勾引を命じた場合、警察官が鍵を壊して居宅に立ち入ることができますので、同時に子どもを連れ出すことも可能です。家庭裁判所の判断を必要とするのは、警察が公権力を濫用しないようにする趣旨です。


7.虐待を受けた児童に対する支援(13条の2関係)

 児童福祉施設や里親の行う養育については、児童のプライバシーを確保しつつ、良好な家庭的環境の下で生活できるものでなければならない旨の規定をはじめ、国及び地方公共団体の役割として、虐待を受けた児童に対する必要な教育、さらには居住場所の確保、進学、就業支援など児童の自立促進のための施策を講じなければならない規定を新設しています。



児童福祉法関係


児童福祉施設の入所措置解除も家庭裁判所の承認を必要とする(28条関係)

 現在、家庭裁判所の承認を得た、施設への入所措置であっても、その措置解除にあたっては、家庭裁判所の承認は要件とされていません。措置解除後に、児童福祉施設から保護者のもとに戻る場合には、保護者の家庭環境が子どもを受け入れられる状況かどうか、家庭裁判所による承認が必要ではないかと考えます。そこで、この点を改め、都道府県が措置解除する時には、家庭裁判所の承認を得なければならないこととします。



民法関係


親権の一時停止及び一部停止(834条関係)

 父又は母による親権濫用等のあるときは、家庭裁判所は期間を定めてその親権停止を宣告し、又は親権喪失を宣告することができるとします。この点、身上監護権についても同様の規定を設けることとします。

記事を印刷する
▲このページのトップへ
Copyright(C)2024 The Democratic Party of Japan. All Rights reserved.