5日午後、議員会館内において近現代史研究会第1回会合が開かれ、三谷太一郎東大名誉教授を講師に迎え、「福沢諭吉と勝海舟−幕末における外国借款政策をめぐる対立」とのテーマで講演を聴き、質疑を行った。
近現代史研究会は民主党のシンクタンクとして設立された「公共政策プラットフォーム」(略称「プラトン」)の中に設置され、昨年に民主党の「日本の近現代史調査会」として行われた活動を引き継いで行うもの。「近現代史調査会」の座長を務めた藤井裕久前代表代行が、引き続きプラトン理事として座長を務めることとなった。研究会の趣旨は、「歴史を学ばざる者は歴史を繰り返す」という教訓を踏まえて、政党政治の発展と挫折など、戦前の日本の政治のあり方を学び直し、現代の政治に生かすこととされている。
冒頭に細川律夫事務局長(衆議院議員)の司会の下、藤井裕久座長が、「岡田克也代表時代に歴史認識がしっかりしていないから政治的問題が起こるとの認識の下に始まったものであり、新たな装いの下に再び始めることとしたい」と挨拶した。
その後、直ちに三谷名誉教授の講演に入った。三谷名誉教授は、日清戦争に対して勝海舟が批判的であったことを指摘し、その根底には幕末における幕藩体制再編構想の中で、再編を強行するためにフランスからの借款を容認する福沢諭吉に対して、外国からの借款を行うべきではないとの勝の主張があったとした。三谷名誉教授は、勝をはじめ当時の指導者が軍事と財政の問題を一体のものと考えていたと指摘した。三谷名誉教授はまた、明治天皇が同様に外国からの借款に否定的な考え方をもっていたと述べた。三谷名誉教授は質疑の中で、対外借款を行うことなく資本主義を育てようとした当時の日本の政府の政策は、今日の発展途上国の政府の政策と大きく異なると述べた。参加議員と三谷名誉教授の間では、活発な質疑が行われた。
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