11日午前、参議院本会議において小林正夫参院議員が、介護保険法等の一部を改正する法律案の趣旨説明に対する代表質問を行い、首相および関係大臣に対して、介護保険法改正案への見解などを質した。
小林議員は冒頭、イラクにおける邦人拘束事件を緊急に取り上げ、「卑劣なテロ行為は断じて許されるものではない」と述べた上で、政府としてとり得る対策を小泉首相へ質問した。小泉首相は「斎藤氏の安否を含む事実関係の確認を急ぐとともに、仮に同氏の拘束が事実であるとすれば、一刻も早い無事の解放に向けて全力を挙げて取り組む考え」であると答弁した。
小林議員は続いて介護保険法改正案の質問に移り、今回の改正において、被保険者および受給者の範囲の拡大が先送りされ、再び検討規定の附則への記載へ留まったことについて、「エイジフリーの制度を求める私たち民主党にとっては、大変残念な形であると言わざるを得ない」と指摘。今後の検討の中では、リーダーシップの発揮を求めるとし、範囲の拡大について小泉首相の考えを質した。小泉首相は、「国民の合意形成に向けた検討が更に必要」と述べ、社会保障制度全般の検討との整合性を図りつつ、新たな検討の場で平成18年度末までに結論を得たいと答弁した。
衆議院における修正の中で、高齢者虐待防止の観点から、権利擁護のための援助が市町村の必須事業とされた。小林議員はこれに関して、高齢者の権利を擁護し代弁する「成年後見制度」がすでに存在すると指摘し、「活用がもっともっと図られてしかるべき」だと訴えた。現行の成年後見制度の改善・改正について問われた南野法務大臣は、周知徹底に努めるとともに制度の見直しの必要が無いかどうか、絶えず留意したいと答弁した。小林議員はさらに、民主党が「高齢者虐待防止・介護者支援法案」を今国会に提出すべく検討中であると紹介し、高齢者の虐待防止のための立法措置について質問。尾辻厚生労働大臣は「議員立法の動きとも十分連携を図りながら」高齢者の虐待防止に取り組む旨を答弁した。
小林議員はこのほか、介護サービスを取り巻く周辺のサービスや事業の拡充・強化や、在宅の重度要介護者へのサービスと認知症に対する支援策、介護の現場で働く人たちの労働条件・労働環境の改善と支援体制の必要性を強く主張し、人口減少社会において、限られた財源のなかで知恵と工夫を持って社会保障制度を作り上げる政治は民主党にしかできないと指摘して質問を終えた。
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