12日午後、衆議院の国際テロリズムの防止及び我が国の協力支援活動並びにイラク人道復興支援活動等に関する特別委員会が開かれ、藤田幸久・首藤信彦両衆院議員が質問に立ち、斎藤昭彦さんの安否、イラクの治安状況、情報収集などについて政府の見解を質した。
藤田議員は、与野党を超えて協力する用意があるとした上で質問し、まず拘束されたとされる斎藤さんの安否に関しての現状の情報を質した。町村外相は、「命に影響があるのか、どこにいるのかも分かっていない」として、現状では安否、拘束されているかどうかも断定できないと答えた。藤田議員は、斎藤さんが負傷しているというのであれば、人命尊重の立場から、「昨年の事件では外相自らが発信した。今回も解放要求以前に、人命の尊重と治療の要求はできるのではないか。相手が誰であろうとも発信できるのではないか」と、昨年の人質事件と同じように政府としてメッセージの発信を求めた。町村外相は、有効かどうか分からないとしながらも「早急に考えてみたい」と前向きに答えた。
また、バグダッドの大使館やサマワ駐在の外務省職員の警備に、民間警備会社と契約し雇用している件で、その契約内容、金額、なぜサマワでの活動で雇用しているのかを質した。外務省中東アフリカ局長は、契約内容の詳細は支障があり言えないとしたが、金額については平成16年度で8億円弱と答えた。更に、イラクでのこうした会社に働く日本人の氏名・人数を把握するよう再発防止・未然防止の観点から要求した。
続いて質問に立った首藤議員は、イラクの治安状況を中心に質問。移行政権の成立以降の2週間で、400人の死亡者が出ていることを明らかにして、治安維持の責任者を尋ねた。町村外相は質問に直接は答えず、治安維持の軍隊と施設防護隊の人数を答えた。首藤議員は現在のアメリカ軍の人数も質問。大野防衛庁長官は「5月11日現在で13万8000人」と答えたものの、実数かどうかは分からないとした。
また、斎藤さんの勤めているハート・セキュリティー社に関して、どう認識しているのか、本当に警備会社なのかを質問。「2004年にクートで暗殺されたグレイ氏の名前もハート社にある。チームで活動していて殺害された。隠密活動をしている会社ではないか」と厳しく質した。これに対して逢沢外務副大臣は、「活動範囲はイラク全土。実行部隊も擁している」と答え、首藤議員の指摘をほぼ認めた。
更に首藤議員は、これらの民間会社に自衛隊の出身者がどれくらいいるのか、それを把握しているかを大野防衛庁長官に質した。大野長官は、「個人のことなので把握していない」と答弁。首藤議員は、「民間の軍隊と国の軍隊の垣根は低くなっている。破壊活動をしている民間の会社もある。平和国家日本、自衛隊の名誉に影響を与える」として、納得できないと糾弾した。
また、イラクからの自衛隊撤退の時期に関して、国連に従うとすれば12月であり、イタリアも12月の撤退を表明していることを明らかにし、半年前に表明する必要があるとして、12月撤退ならば、表明するよう迫った。
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