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1998/05/18
衆院緊急経済特別委・総括質疑で政府の財革法改正案など追及
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 衆院緊急経済対策特別委員会は18日、総括質疑の2日目を行った。海江田議員ら民主党の4議員の質問によって、政府の財政構造改革法改正案など経済関連5法案は財政構造改革の面でも景気対策の面でも不十分であることが明らかになった。
 総括質疑はこの日で終了し、一般質疑に入るが、民主党など野党は4日間の一般質疑を前提に対案提出を準備しているのに対して、自民党は理事会で「20日に委員会採決」と主張している。

■海江田万里議員/特別減税の効果に疑問
「増税が待っていれば消費には回らない」

 海江田万里議員は、バーミンガム・サミットから帰国したばかりの橋本総理に対して「アメリカなどG7の日本経済への関心は、短期的景気対策から中長期的構造改革に移ってきたのではないか」と質問。総理は「間違いない」と答えたが、海江田議員は「総理の『ドラスチックな金融改革』という言葉は外国メディアに信用されていない」として、公的資金による金融機関への横並び資本注入や銀行の救済合併などを挙げ、「相変わらず『護送船団方式』が続いている」と指摘した。
 海江田議員は「特別減税を繰り返して課税最低限(所得額)をさらに高くし、その後、税制改正で引き下げるという愚かさを認識しているのか」、「今回の政府減税案によって納税者が700万人減少するが、その700万人はその後の増税予告付きなら特別減税分を消費に回さない」と、ちぐはぐな減税政策を追及したが、橋本総理は「課税最低限を見直すと言っただけで、引き下げるとは言っていない」と、ごまかしの答弁に終始。海江田議員が「減税も公共事業も中長期的な構造改革につながるものでなければ議論に耐えられない」と諭す場面もあった。
 さらに海江田議員は財革法改正案について「目標達成年次を2003年から2005年に延長しているが、大切なのは、2000年までの集中改革期間を伸ばして景気対策を行うこと」と、今こそキャップ(歳出上限)をはずして積極財政を行うべきと主張した。

■金田誠一議員/構造改革に3つの理念提示
「不況時に財政支出、好況時に再建すべき」

 金田誠一議員は「財政構造改革と景気対策は不可分」との立場から、「本来あるべき財革法」の理念として、(1)不況時には財政出動する(2)好況時に財政再建、財政抑制がされる(3)好・不況に関わらず財政支出に無駄があってはならない――の3点を示した。橋本総理は「今回の改正案にある弾力条項の方が実態に合う」と答えたため、金田議員は「微調整では対応できない」として、失業率など一定の経済指標に基づく財政運営を求めた。
 金田議員は日本の公債残高(国の借金)が好・不況を問わず一貫して増えてきた歴史を指摘したが、橋本総理が「ゼロシーリングなど、ずいぶんいろいろな工夫がされてきた」と答えたため、「そういう認識だから、不況で財政出動すべき時に財政赤字を抱えた状況を作ってしまった」と、過去の財政運営への反省もない総理を批判した。

■岡田克也議員/異例の予算審議批判
「来年も『抜け道』補正予算繰り返すのか」

 岡田克也議員は、財革法14条2号の規定によって平成11年度予算の公共投資額は平成10年度を下回らなければならないことから、「たいへんなデフレ予算にならざるをえない」と指摘した。松永蔵相が「平成11年度予算はまだ考えていない」と答弁したため、岡田議員は「今年度の繰り返しではないか」として、財革法の「抜け道」である補正予算編成で公共事業の積み増しを繰り返す手法を、政府が来年も取るのではないかと批判。「来年の国会も当初予算を出しながら、補正予算を組むというような状況になったらどう政治責任をとるのか」と詰め寄ったが、橋本総理は「来年度予算への忠告と受け取らせてもらう」とかわした。
 岡田議員はまた、厚生省からの天下りや入札代理による収益事業など、公益法人に関する閣議決定にも反している財団法人「厚生共済会」の問題について、「昨年は医療用食品あっせんによるピンハネが問題となった札付きの悪徳法人。小泉厚相も見直しを約束したはずだが、この1年、何をやっていたのか」と追及。厚相は「厳正に指導する」と答えたが、岡田議員は「大臣の責任は免れない」として納得しなかった。

■生方幸夫議員/野党無視し強行した責任追及
「見通しの誤り、一貫性ない姿勢が不況の原因」

 生方幸夫議員は「今回の改正で経済活動が著しく停滞した時は赤字国債縮減条項を凍結できるとしているが、財革法が成立した昨年11月は三洋証券、北拓、山一の破綻が明らかになり、まさに停止が必要な時だった。野党の反対を押し切って強行した政治責任は大きい」と追及した。
 生方議員は「桜の咲く頃には景気は良くなる」、「7月頃には良くなる」といった尾身経企庁長官の発言についても経済見通しの誤りを指摘。「いくら景気対策をうっても景気が良くならないのは、財革法をわずか半年で改正するなど総理の姿勢に一貫性がなく、世界から信頼されていないからだ」と批判。「野党の本予算組み替え要求に耳を貸さなかったから、今になって補正予算が必要になっている。来年同じことをするとしたら、税金を払っている国民に対する裏切り」と警告した。

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