トップ > ニュース
ニュース
ニュース
2005/05/13
【衆院国交委】市村・金田・土肥議員、JR脱線事故でJRの姿勢追及
記事を印刷する



 衆議院国土交通委員会は13日、国土交通行政に基本政策に関する件(JR西日本福知山線列車脱線事故問題)について質疑を行い、民主党・無所属クラブからは、市村浩一郎・金田誠一・土肥隆一各衆院議員が質問に立った。

 質疑に先立ち、事故現場の調査のため委員会から派遣された委員を代表して、土肥議員がその調査内容について報告。その後の与党議員の質疑に続いて、質問に立った市村浩一郎議員は、自ら事故現場に赴いて様々な人々から寄せられた声をもとに、事故原因の調査について当事者であるJR西日本の早急な対応を求め、客観的に調査を行う事故調査委員会とは別に、JRが「自らの問題として取り組むのは当たり前だ」などと指摘した。また市村議員は、国土交通省の航空・鉄道事故調査委員会に対して、事故原因の調査にあたってはヒューマン・ファクターを重視するよう要請。事故現場で救助活動に当たった関係者に対して、「心からの敬意」を表するとともに、更なる迅速な救助活動を行う余地があったのかどうか等について消防庁の見解を尋ねつつ、関係省庁や自治体間の調整を行う日本版FEMAの必要性を強調した。

 また、現地で通勤・通学の足となっている福知山線が事故後不通となっていることについて市村議員は、「安全対策が十分にとられないと安心して乗車ができるのか」との北側国交相の見解に賛意を示しつつ、運転再開のメドと安全対策に関する北側国交相の見解を求め、新型のATSの整備を前提とし、できるだけ早期の再開を求めた。

 続いて質問に立った金田誠一議員は冒頭、参考人として出席したJR西日本の垣内社長に対して、「質問は最後にしようと思ったがそうもならなくなった。分かっておられないのかと腹立たしい思いがする」と不快感を示し、今回の事故を招いた出発点は1991年の信楽高原鉄道事故でのJR西日本の対応が象徴しているとして、一貫して責任回避してきた体質を指摘。「経営トップの総入れ替えなくして何をやろうというのか」と質した。垣内社長は「一から出直す方法としては風土改革・遺族への対応等々がある」などとし、「今回の事故で社員のなかで最も痛みを感じたのは私。私から社員に訴える中から風土改革のきっかけをつくっていく」などと答弁。

 金田議員はまた、航空・鉄道事故調査委員会に対しては、直接的原因はもとより、ダイヤ編成の無理・異常とも言える労務管理・新型ATSや防護レールが設置されていなかった理由など、事故の背景の解明を行うよう求めた。同時に、同委員会の公開、調査の中間報告、同調査委員会の体制強化の必要性を指摘した。佐藤参考人は「自由に発言することを考えると委員会の審議は非公開が適当」との見方を示したが、報告書に関しては公表すると答弁。慎重に幅広い調査を行い、中間報告も可能な範囲で示していくとした。

 金田議員は、「日勤教育は否定するが、本来ならば遅れを取り戻すためにスピードオーバーした乗務員こそが教育を受けるべき」として、ダイヤ時間厳守ではなく安全を優先するためには遅れも辞さない体制こそが本来の姿だと指摘。北側国交相に対し、JR西日本の指導監督を怠ってきた国の責任を認めた上で、安全確保の原点に戻るよう強く要請した。

 次に質問に立った土肥隆一議員は、冒頭、今日の審議が真相究明と事故の再発防止のための最初の審議であり、継続されるべきものであるとの認識を示した。その上で、今回の事故はヒューマン・ファクターが原因であり、人間性の理解が事故の再発防止には不可欠であるとした。そして土肥議員は、JR西日本の役員の現場経験や運転免許の有無を問い質した。垣内社長は、「半年、列車に乗った。通信区の助役もわずかであるが経験した。免許は不確かだが1人持っている」と答えた。

 また土肥議員は、国土交通省の省令の中に、「人命に危険が及ぶ時は、救命に努めなければならない」との項目があることを明らかにし、事故列車に乗り合わせた2人の乗務員に対して、「どうして職場に戻れと言ったのか」と質した。徳岡専務は、「省令に対する理解が十分でなかった。反省している」と答えた。また、この省令は携帯が義務づけられていることも明らかにした。

 土肥議員は最後に、「人間は必ず違反する。人間理解をもっとちゃんとしてもらわなければ、安心して電車に乗れない。JR西日本だけでなく、国全体が問われている。どこが安全をチェックしてくれているのか、国民は不安に思っている。心のケアなどは事故調査委員会ではできない。人間の研究をもっと広く行うべき」などと述べ、質問を締めくくった。北側国交相は、「重要な指摘をいただいた」と答え、省としても研究していくことを約束した。

記事を印刷する
▲このページのトップへ
Copyright(C)2024 The Democratic Party of Japan. All Rights reserved.