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2005/08/04
【参院郵政特】藤本・若林・大久保・水岡各議員が矛盾点を追及
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参議院郵政民営化に関する特別委員会で4日、民主党・新緑風会の藤本祐司・若林秀樹・大久保勉・水岡俊一各議員が質問に立ち、竹中郵政民営化担当大臣をはじめ関係大臣を質した。

 最初の質問に立った藤本祐司参院議員は、政府の民営化推進室の行った実行可能性調査の問題点を具体的に指摘し、民営化の効果が誇大広告である可能性を裏付けた。

 藤本議員はまず、先回の質問において答弁が不十分であるとして留保した民営郵便会社の国際物流への進出に関する採算調査を取り上げ、収入と支出の計算にそれぞれ異なったタイプの既存業者の平均値を用いていることを問題とし、その理由を問い質した。竹中民営化担当相は、それぞれ構造の類似した業者の数値を用いたと答弁したが、議員は採算予測においては収入および支出は同一タイプの業者の数値を用いるのが常識だと反論。非常識な方法に基づき民営化についてバラ色の誇大広告をしている恐れがあると指摘した。

 次に藤本議員は、公社が国際物流などに進出する場合の問題点に関して質問した。これに対して担当相は公社の性質からして一般的な制約があると答弁するのみで、民営化でなければ業務拡大が不可能となる根拠は明示しなかった。

 更に藤本議員は、民営化の説明として2万4700の郵便局がコンビニになると読めるような表現を用いながら、実際の経営試算では1300局しか採算が取れない結果となっていることを取り上げし、ここでも国民を誤信させる誇大宣伝が行われていることを指摘したが、担当相は広報は分かりやすく書いているとの答弁を行うのみであった。

 続いて質問に立った若林秀樹参院議員はまず、随意契約によってつくられたことが問題視されている政府広報において民営化後の郵便局について「コンビニのように機能する」としている点に言及。「誇大広告だ」と指摘し、竹中担当相に謝罪・撤回を求めた。竹中担当相は「不十分な点があった」などとしたが、撤回の姿勢は示さなかった。若林議員は小売商などと隣接する郵便局が多数存在する現状にあっては、民営化後コンビニ化するなどありえない事情をかかえた郵便局が多数あることを指摘した上で、「民業圧迫であり、机上の空論にすぎない」として、郵政民営化法案のあいまいさを改めて浮き彫りにした。

 同時に、アンケート結果に基づき、国会審議が進めば進むほど、郵政民営化賛成の意思表示をする国民が減少している状況を指摘。求められる改革とはいえない実態を指摘した。

 若林議員はまた「この問題を取り上げるのは3回目だが、やはり立法府に携わるものとして見過ごせない」などとして、「民営化はしない」とすることを定めた中央省庁等改革基本法第33条第一項の問題を取り上げ、今回、郵政民営化法案の成立を目指すのであれば、改正が先であることに改めて言及した。

 続いて質問に立った大久保参院議員は、今回の法案がいい加減な計算に基づいていることを取り上げ、失敗の危険性、郵貯の名寄せが完了しない場合の対応などを質した。

 大久保議員は、「民営化が失敗する可能性は全くないと考えるのか」と質問。竹中担当相は、「リスク回避のためのさまざまな手段を盛り込んでいる」と答え、具体的にはなにも答えなかった。次に「名寄せの現状は」と質問、生田郵政公社総裁は「限度額オーバーは381万人から、198万人に減った」と答えたものの、郵便貯金の口座数が1億2500万である現状、これを追跡調査して名寄せが民営化までに完了するかどうかに公社は明確に答えなかったため、大久保議員は「民営化できないのでは」と追及した。担当相は「公社においてしっかり対応して下さっていると思う」と無責任に答えた。

 更に大久保議員は、政府がGDPが名目で4%台での成長、実質で1%台成長と予測していることを根拠に、そうであればインフレ率が3%台であり、金利も2%上昇することが予想されるとの見解を示し「2%の金利上昇で15.4兆円の損失が生じる。資産・債務の資料はいつ出せるのか」と迫った。担当相は「公社に聞いて」とこれまた無責任な答弁。公社も「今後検討していく」と無責任な答弁。さらに大久保議員は金利が2%上昇した場合、160兆円の巨額な定額貯金が解約される恐れがあるとして「債務超過となる」ことを指摘、「誤った情報に基づく法案は絶対に通すべきでない」として質問を終えた。

 続いて質問に立った水岡俊一参院議員は、これまで郵便局が担っていた災害時での活動、職員の労働条件の交渉相手に関して質問、政府を追及した。まず、水岡議員は阪神・淡路大震災、新潟中越地震での郵便職員の活動を紹介、「業務の域を超え、勇気・希望を届けた」とした。その上で、今回の法改正により、災害対策基本法の指定公共機関から郵政公社が削除されていることを取り上げ、郵便局時代と同等の活動が保証されるのかを質した。担当相は「郵便事業会社は指定公共機関に指定されることになると考える」と答弁。これに対して水岡議員は法律で担保され、3事業一体で展開してきたからこそ、今まで災害時に活躍できたのであり、国民のこの部分での不安はぬぐいきれないと批判した。

 次に水岡議員は、職員・労働組合との対話・交渉について質問。この法案が成立した場合、郵政株式会社ができるまで期間最大で6カ月間、雇用・労働条件の交渉相手が不在となるのではないかと質問。生田総裁は「必要な役割分担は、権限の範囲で誠意を尽くしていきたい」と答えものの、法律的には空白となることは竹中担当相も認めた。

 水岡議員は、雇用・身分にかかわることであり、誠意をもって組合と十分話し合うよう求め、質問を終えた。

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