中小企業向け金融検査マニュアル策定WT
民主党版中小企業向け金融検査マニュアルの基本的な考え方
1. 中小企業向け融資の実態
銀行=間接金融という図式は必ずしも実態を表していない。銀行が直接金融も担っているのが中小企業向け融資の実態。
すなわち、中小企業向け融資の中には、実質的には「資本」に相当するものが含まれている。
具体的には、運転資金名目で貸し出される、いわゆる「ベッタリ貸し」と呼ばれる短期貸出や、反復して利用される長期貸出である。
2. 現行金融検査マニュアルの欠陥
現行金融検査マニュアルは、上記1のような実態を無視して、銀行と債務者が長年にわたって暗黙の合意で継続してきた融資を、直ちに返済できなければ不良債権と見なすという考えの下に策定されている。
この結果、中小企業に対する急激な貸し渋り・貸しはがしが発生した。
3. 民主党版中小企業向け金融検査マニュアルのポイント
以上の観点に立てば、中小企業向け金融検査マニュアルのあるべき姿は、実質的に「資本」に相当する貸出について、その実態に合わせるというものになる。
具体的には、銀行と債務者が長年にわたって暗黙の合意で継続してきた融資については、貸出ではなく、「資本」と見るべきである。この結果、「資本」と見る貸出についてはキャッシュフローから除かれることになり、本業でキャッシュフローが回っている債務者については不当な債務者区分にされることがなくなる。
4. 中小企業再生
以上の施策を時限的に実施する中で、デット・エクイティ・スワップを活用して銀行貸出を最終的に代表者等の出資に振り替えることも検討する。
その他検討課題
1 信用保証制度の見直し
現行の信用保証制度においては、信用保証協会による保証割合は100%であり、金融機関は貸し倒れリスクを負わないこととなっている。この結果、金融機関による安易な代位弁済が横行し、中小企業が倒産に追い込まれるケースが多い。
また、そもそも中小企業は、十分な担保や保証人を持たないことから信用保証制度を利用するのであり、信用保証協会が過度に担保や保証人を徴求することは制度の趣旨に照らして問題がある。
信用保証協会による保証割合の引き下げ、過度の担保・保証人徴求の禁止を検討する。
2 差押禁止財産の範囲の拡大
中小企業が倒産すると、連帯保証人である代表者等も破産に追い込まれるケースが多い。その際、強制執行における差し押さえを免れる連帯保証人の財産(差押禁止財産)は、1.生活に欠くことができない衣服、寝具、家具等、2.生活に必要な2ヶ月間の食料、燃料、3.最低生活費3ヶ月分(99万円)、4.公的給付受給権のみであり、非常に厳しいものとなっている。
差押禁止財産の範囲の拡大を検討する。
3 新BIS規制の国内基準への適用
2006年末から実施される新BIS規制を国内基準に適用するに当たっては、中小企業金融の特性を十分に考慮する。
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