民主党
1.法案提出の理由
年金等の公的給付の受給権については、法令により、担保設定が禁止されている。しかしながら、関係法令に明確な罰則規定がないこともあり、現実には、預貯金通帳等(預貯金通帳、キャッシュカード、印鑑、年金証書等)を預かるという形で、事実上年金を担保にとった高利融資を行う金融業者が存在し、被害が拡大している。被害拡大を防ぐには、貸金業の規制等に関する法律(貸金業規制法)等の改正が急務である。
2.法案の概要
(1) 法案名 貸金業の規制等に関する法律等の一部を改正する法律案
(2) 主な改正内容
貸金業を営む者が、年金受給者等である債務者から、貸付金回収のため預貯金通帳等の引き渡しを求め、または引き渡しを受けることを禁止し、違反した者には罰則を科す。
貸金業者が、年金受給者等の借入意欲をそそるような広告・勧誘を行うことを禁止する。
国民生活金融公庫が恩給等担保融資を行うに際しては、債務者の返済能力を超えないよう十分留意しなければならないこととする。国民生活金融公庫が行う恩給担保金融に関する法律を準用している沖縄振興開発金融公庫法及び独立行政法人福祉医療機構法についても同様の改正を行う。
参照条文
○ 国民年金法第24条
給付を受ける権利は、譲り渡し、担保に供し、又は差し押える事ができない。ただし、年金給付を受ける権利を別に法律で定めるところにより担保に供する場合及び老齢基礎年金又は付加年金を受ける権利を国税滞納処分(その例による処分を含む。)により差し押える場合は、この限りでない。
○ 貸金業の規制等に関する法律第13条の2
貸金業者は、貸付け又は貸付けの契約に係る債権の管理若しくは取立ての業務を行うに当たり、偽りその他不正又は著しく不当な手段を用いてはならない。(金融庁の事務ガイドラインには、「印鑑、預貯金通帳、・証書、キャッシュカード、運転免許証、健康保険証、年金受給証等の債務者の社会生活上必要な証明書等を徴求すること。」等の行為が例示されている。)
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