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2006/04/14
【参院本会議】加藤議員、社会の完全参加へバリアフリー法案質疑
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 「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律案」を議題に参議院本会議が14日開かれ、民主党・新緑風会の加藤敏幸が質問に立ち、バリアフリー化への施策を充実させていくにはいくつかの改善点があると主張し、関係大臣に質した。
 
 冒頭では「東横イン」の不正改造問題に言及し、この事件は、障がい者の人権を無視するとともに、高齢者や障がい者などの社会参加と移動を保障するバリアフリー社会の建設という理念を踏みにじる、まさに反社会的行為だと批判。政府としても自治体と連携して、早急に違反建築物の是正措置と再発防止策をとるよう国土交通大臣に注文をつけた。

 次に、法の目的に関して質問。加藤議員は障がい者の社会参加は、まさに権利そのものであり、高齢者や障がい者の移動を自由にし、円滑化する施策の推進は、まさに国家的義務であるとの考えを示し、法案のように、「障がい者の自立した日常的生活の確保は重要である」というレベルに止まっていてはいけないと指摘。依然として障がい者への乗車拒否や利用拒否が行われているという現状を考慮しても、「障がい者の移動の権利と自由を保障する」という認識を法文上に表すことが重要だとして、国土交通大臣の見解を質した。

 それに対して北側国交相は「『障がい者の移動の権利と自由を保障する』という認識を法文上に表すことについては、そのための交通事業に対する国の権限の強化、財政支出の増大等、さまざまな問題点があると考える」と答弁するに留まった。
 
 続いて、バリアフリー化の現状をめぐり、現時点でのバリアフリー化の進捗状況をどう評価するか、他に比べて遅れが見えるバスと旅客船に関する計画達成にむけた見通しについて質問した。北側国交相は進捗状況については、着実に進展しているとの認識を提示。バスについてはバリアフリー化は着実に進んでいるとしたが今後も補助制度等を活用し目標達成に努めるとした。一方、旅客船については必ずしもバリアフリー化は進んでいないとして、離島航路のバリアフリー化や建造費補助等を活用して取り組んでいくとした。
 
 旅客施設、とくに駅舎のバリアフリー化の状況にも加藤議員はふれ、利用客5000人以下の地方の駅の遅れが目立ち、地方に住む高齢者や障がい者は、公共交通機関での移動において、大きな不便を強いられていることを明らかにした。こうした地域間格差を解消するためにも、特定旅客施設の指定基準を引き下げるか、利用客5000人以下の駅について国として大胆な施策を講じるべきだと問題提起した。

 続いて現行制度では、百貨店やホテルや老人ホームなどを「特別特定建築物」として、これらの新築建物と床面積2000平方メートル以上の新築・増築建物に対してバリアフリー化の基準適合義務を課しており、さらに学校や事務所などの特定建築物については利用円滑化基準に適合させるための努力義務を課していることを指摘。そのうえで加藤議員は、障がい者が日常的に出入りして利用する建物・施設や小規模な建物を含め、より広範な建物を規定の対象とするよう法令を改定すべきだとの考えを示した。同時に、学校など災害時の避難場所として利用される施設も特別特定建築物として指定すべきだと問題提起した。さらに、障がい者の利用度が高い既存の建築物のバリアフリー化の改良・改造が行われるよう、政府・自治体が有効な支援措置を講ずるべきと指摘した。

 加藤議員は続けて、「ユニバーサルデザイン」の理念と施策を生かすよう要請。また、当事者である高齢者、障がい者が、バリアフリー化の事業と運営に直接に関与し、当事者の視点からの提言と日常的な点検・監視作業を行う必要性を指摘。同時に「基本構想」の作成に住民が提案できる枠組み、あるいは当事者などによって構成される「協議会」の設置規定に関しては、有効に機能するよう、十分な保障措置を講じるよう国交相に求めた。

 また、障がいを持つ個々人の移動能力を大きく向上させる施策にも重点を置くべきだとの考えを示した加藤議員は、「シニアカー=ハンドル式電動車いす」の普及にむけた技術改良や公共交通機関での受入体制の確立、ドア・ツー・ドアの移動を可能にする「STS」=スペシャル・トランスポート・サービス」の充実支援策も急ぐべきだと主張。さらには、筋力の衰えや喪失した身体機能を補完する補助用具や移動機器の開発の重要性も指摘した。

 最後に加藤議員は、「ある社会がその構成員のいくらかの人々を閉め出すような場合、それは弱くもろい社会なのである」と謳っている国連の「国際障がい者年行動計画」の第63項を提示し、バリアフリー社会を完成させることは我が国が尊厳ある国家として安定的に存続していくための必須条件の一つであると強調。小泉改革特有の「自己責任」との視点を脱却し、政治の責任のもとで、本法律案が、障がい者の真の自立と社会への完全参加を促進するという成果を上げることを願いたいと改めて強く訴え、質問を締めくくった。

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