党BSE問題対策本部・『次の内閣』農林水産部門会議は27日、国会内で合同の会議を開き、前プリオン専門調査会専門委員の金子清俊東京医科大学教授を招き、食品安全委員会プリオン専門調査会における答申作成の経緯、BSE対策のあり方等に関して説明を受けた。
対策本部長の山岡賢次副代表は同本部事務局長の田嶋要役員室次長(危機管理担当)の司会のもとで挨拶に立ち、「米国産牛肉の輸入再開が必ず起きてくる。そうなれば、日米間の大問題になる」との認識を示し、輸入再開議論が活発化するまでに食の安心・安全の確保に向けた対策を民主党として国民に明示していく必要性があると指摘した。同時に、同本部副本部長の末松義規国際局長を団長に、田嶋同本部事務局長、白眞勲同本部事務局次長(国際局副局長)らで構成するBSE香港調査団が、輸入米国産牛肉に危険部位の混入が発見された現状を調査するため24日に香港を訪れ、香港国際空港食品検査事務所視察等を行うとともに、香港食品環境衛生署長らとの会談を行ったことを報告した。
金子教授は食品安全委員会プリオン専門調査会委員6名が辞任するに至ったことで社会的注目を集める結果となってしまったことは必ずしも良かったとはいえないとしつつも、将来を見据えたうえでの求められる食品安全委員会の改革点、日本および世界のBSE対策の今後進む方向に関して自らの考えを示した。
科学的にリスク評価を行う機関である食品安全委員会は公正・中立・独立だとされ、政府や管理省庁とは完全に独立しているとされてはいるがそう言い切れないのが実態であるとの認識を金子教授はまず明らかにした。そうした認識に至った理由については、「一連の審議の経過からも明らかなように答申の内容は限定的である」と述べ、極論すれば導き出される答申は政府や管理省庁側の諮問の出し方次第で左右されてしまう危険性があるとした。
金子教授は、本来はどの国がどの国を評価する場合であってもBSEの管理対策をチェックし、それによってその国のBSEの危険性・汚染度を把握したうえで、牛肉・乳製品の安全性の議論に入るのが科学的な筋道としてあると改めて指摘した。評価方法としては、飼料規制・実際に現場を調査することで得る特定危険部位の除去実態データ・全頭検査データの3点が不可欠な観点となると説明。その3点を複合的に判断した結果で、その国のリスク評価を行うことになるとした。
同時に金子教授は、日本国内においてはそうした総合的な観点での評価体制を積み重ねてきた結果、牛肉の安全・安心の確保が確立しているとの認識も示すとともに、20カ月齢以下の牛は検査しなくてもいいとする判断は、日本国内における360万頭にのぼる全頭検査結果データから引き出した結論であることを指摘。つまりは、日本国内と同様の飼料管理等が行われ、日本同様の条件下で育てられた牛を前提にしたものであり、それを米国産牛肉に当てはめるのは極めて問題だとする見方を示した。
プリオン専門調査会専門委員の立場にあった金子教授が、そうした指摘を繰り返し行ってきたにもかかわらず、政府や管理省庁は「科学的な検討の結果」というお墨付きを得たとばかりにプリオン専門調査会答申を米国産牛肉の輸入再開への足がかりとしたこと、また、日本国内と同等の飼育条件をクリアすることが前提である「20カ月齢以下の牛肉ならば安全」とする観点を輸入条件としたことは極めて問題とする認識を示すとともに、さらには政府・管理省庁主導でプリオン専門調査会専門委員の人選を行うのではなく人選を透明化していく必要性を指摘した。
説明後には意見交換が行われるとともに、山岡本部長は金子教授の指摘を政治的にも解決していく必要性があると表明、委員会のあり方も十分に見直して行くべきと語った。
なお、会議には同本部長代理の山田正彦『次の内閣』ネクスト農林水産大臣、同副本部長の篠原孝農林水産団体局長、川内博史経済団体局長、末松義規国際局長、和田ひろ子参議院農林水産委員会委員、同本部事務局次長の小川勝也『次の内閣』ネクスト農林水産副大臣・遊説局長、白眞勲参議院国会対策副委員長、黄川田徹、佐々木隆博、森本哲生各衆議院議員、森ゆうこ、ツルネンマルテイ、主濱了各参議院議員が出席した。
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