19日午後、衆院国土交通委員会において耐震偽装問題に関する参考人質疑が行われ、下条みつ議員は設計事務所の責任を厳しく追及した。
まず下条議員は耐震偽装で問題となっている「グランドステージ川崎大師」の設計・監理を請負っていたスペースワンの井上正一社長に対して、同マンション9階の部屋の壁と柱の間にスリットが入っていいないことを示す写真を提示し、また同マンションの監理検査記録の中では「スリット確認、問題なし」とされていることを示して、同社の責任を質した。これに対して井上社長は、当初は曖昧な回答を行ったが、「施工業者と監理者の両方に責任がある」と責任を認めた。
下条議員は井上社長に対して、同マンションにおいて柱の真横の梁の中にスリーブ(排気口等)が開けられている写真を示し、梁が大きく効力を失っていることを指摘した上で、このような位置にスリーブを開けたことについての責任を質した。当初井上社長は、スリーブの位置は現場で決めるものであると答弁したが、下条議員が姉歯設計士がスリーブを柱から離すように要請している事実を指摘して、工事監理の立場にあるスペースワンの責任を追及したところ、スリーブの位置を適正なところに入れることは施工している建設会社の責任であると答弁した。下条議員は、スペースワンが工事請負契約書に「監理者としての責任を負うため」に捺印していることを示してさらに責任を追及したが、井上社長は「気がつかなかったことについては責任がある」と答えつつも、「工事現場は動いている。24時間常駐しているわけではない」との答弁を繰り返した。下条議員は、真摯な反省の言葉を聞きたかったと述べ、その無責任さを批判した。
次に下条議員は、愛知のセンターワンホテルの構造計算書における柱のせん断力が必要な数値の半分しかないことを指摘し、設計管理を請負った平成設計の山口時也社長にその意味を質したが、山口社長は「構造の知識がないので分からない」と答弁した。下条議員が、せん断力を半分にするということは鉄筋の量を減らすことではないかと指摘すると、山口社長は「認識できる」と答弁した。ここで下条議員は、姉歯設計士の行った耐震偽装は二重のものであったと述べ、それはまず壁の強さを落とし、それに合わせて一階の柱を弱くするというきわめて危険なものであったと指摘した。この指摘に対しても、山口社長は「認識できる」と答えるのみであった。下条議員は、センターワンホテルの建設に総合経営研究所の四ヶ所チーフコンサルタントや山口社長が深く関わった経緯を示し、姉歯設計士はトカゲの尻尾であって、責任は親会社にあると指摘した。さらに設計・監理業務委託契約書にもとづいて、「契約書の遂行義務はある」との山口社長の答弁を得た下条議員は、この答弁にもとづくと全ての責任は平成設計にあることになると述べた上で、総研が作成している覚書を示し、偽装の判断は本当に平成設計のみの判断であるかどうかを質したが、山口社長は「構造計算は姉歯となっている」とのみ答弁した。
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