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2006/06/20
自衛隊のイラクからの一部撤退について(談話)
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民主党幹事長
鳩山 由紀夫

民主党は、自衛隊イラク派遣について、大量破壊兵器の存否等不正確で恣意的な情報に基づき安易にこれを支持して大義のない派遣となったこと、及び「イラク特措法」に基づく自衛隊の活動に関して、無理を重ねた法的構成と国連中心の支援体制を構築できなかったことから認められないとしてきたところである。過酷な条件下で命令を遂行してきた現場自衛官の労は多としつつも、今回の決定は遅きに失した感がある上に、以下の点を指摘しなければならない。

 第一に、撤退する陸上自衛隊は派遣自衛隊の一部であり、航空自衛隊は拠点をバクダッドに移して、活動範囲が拡大されるとも伝えられており、全面的な撤退は次期内閣に先送りされた。

 第二に、今後任務の中心は、人道復興支援ではなく、いわゆる後方支援になると見られるが、政府はこの活動の実態をほとんど明らかにしておらず、説明責任を果たしていない。伝えられているように国連の要請に基づく活動ということであれば、PKO法等を適用する等派遣の法的枠組みを再構成して、国民にもわかりやすい方法をとるべきである。また、任務拡大により安全性がどうなるかの情報も不足しており、その曖昧さが現場自衛官に過大な負荷をかけてきた経緯は看過できない。

 第三に、今回の決定も、陸上自衛隊の駐留するサマーワを管轄するイギリス軍の撤退等と合わせたもので、米国主導の派遣決定と同様に主体性がない。

 イラクでは、政治プロセスの進展や治安権限の移譲がみられるが、今なお宗派対立やテロ等がやまず、多くの死傷者が出ており、フセイン政権を倒した多国籍軍も事態を収拾できていないのが実情である。したがって、陸上自衛隊の撤退は、英国軍などの動向に十分留意し、現地政府や住民の信頼を得つつ、安全かつ速やかに行われるべきである。

 今後のイラクへの人道復興支援協力は、わが国にふさわしい「人間の安全保障」の視点に立って、企業、NGOなどの「民」と連携して切れ間なく継続していくことが重要である。


以 上

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