郵政民営化関連法案を審議するに当たり、法案提出に関して重大な瑕疵があり、特に以下の点を明確にすることが欠かせない。
1.中央省庁等改革基本法33条1項6号の問題
■本法第1条には「この法律は行政改革会議の最終報告の趣旨にのっとって…」と定められており、同最終報告では「新たな公社とすることにより…民営化等の見直しは行わない(国営)」とされ、それを受け本法33条1項6号で「民営化等の見直しは行わないものとすること」とされている。
■この文言が盛り込まれた理由は、新型公社化が民営化への道筋になるとの懸念を払拭するためというのは当時の政府答弁等からも明白であり、民営化を行うのであれば本法の修正法案を合わせて提出するのが当然。
2.政府与党合意等に基づく修正を前提とした法案
■4月25日になされた政府与党合意の内容は、ほとんど法案には盛り込まれていない。
■例えば、基金について1兆円に達するまでの積立義務は法案で定められているが、2兆円まで継続可能との政府与党合意は法案では定められていない。
■また、株式の持ち合いを可能とすることも定められていない。
3.多数の政省令に委ねている点
■関連6法案の全条文の中で、政省令が出てくる箇所は234と膨大で、その多くが政令(省令)で定めるとされている。
■例えば、議論の大きな焦点である郵便局の設置基準は総務省令で、また郵便貯金銀行と郵便保険会社の預入限度額は政令で定めるとされている。
4.条文ミスの問題
■郵政民営化法等の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案において改正漏れがあり(地方公営企業法39条3項)。
■平成19年4月1日までに改正するとの政府回答。
|