岡田克也代表は24日昼、日本外国人特派員協会で、自らの外交安全保障ビジョン「『開かれた国益』をめざして −アジア、そして世界とともに生きる−」について講演を行った後、参加した各国特派員から出された、日中関係をめぐる諸問題や、靖国神社参拝問題、対北朝鮮問題など多岐にわたる質問に、一つひとつ丁寧に答えた。
まず小泉首相の靖国神社参拝について問われた岡田代表は、「私が総理大臣になった折りに靖国神社に参拝することはない」と明言した上で、「小泉総理がどうすべきかは、総理ご自身が判断すべき」としつつも、「外国政府によって言われて、それによって判断すべきではない」と指摘した。更に岡田代表は、小泉首相が「なぜ外国がこのことを問題にするのか分からないと答弁した」ことについて触れ、「自らの信念が正しいと思うのであれば、その信念を説明し、相手を納得させる責任がある」と厳しく指摘し、「その責任を放棄しているのであれば、日本国総理大臣としてきわめて問題がある」と首相の姿勢を批判した。
憲法に関する民主党の考えについては、戦後60年が経つ現在、「憲法について国民的議論をすることは必要だ」と岡田代表は指摘。国会の憲法調査会で「非常にいいまとめができた」ことを受け、「それをもとにして、わが党も憲法の改正についての基本的な考え方を、今まとめているところ」であることを明らかにした。また岡田代表は、「まとめたところで、国民的な議論を巻き起こしたい」とし、「最終的に決定するのは国民」であり、「われわれはそのための、民主党としての考え方を示す」との意向を示した。
また、中国の呉副首相が昨日、小泉首相との会談をキャンセルしたことをどう受け止めるかを問われた岡田代表は、「どういう理由で会談がキャンセルされたのかは、憶測でしかない」として直接のコメントは控えつつ、「先般の予算委員会における総理の答弁は、かなり影響を与えた可能性がある」として、「(靖国神社に)いつ行くか決めていないという言い方で、行くことを前提にした答弁だった」ことを指摘した。
また小泉首相が、「会いたくないものは会う必要はない」という言い方をしたことについても、「突然の帰国について、愉快でない気持ちを持つということはあるのかもしれないが、それにしても、もう少し丁寧な言い方というのがあっていいと思う」と述べた。そして岡田代表は、「どんどん日中間の溝を深めるような方向に、小泉首相が自ら持って行っているように思える」として強い懸念を表明し、「『自信に裏付けられた謙虚さ』が必要ではないか」とした。
北朝鮮との関係について岡田代表は、「北朝鮮との問題を解決していくためにも、中国や韓国との信頼関係が特に必要だと思っている」とした上で、「小泉総理の考え方と自民党の考え方があまりに違っている、そのことがそのまま放置されていることが一番問題だ」と指摘。同時に現在の状況が、「対外的に強く出ることが、支持を得やすい状況であることは確か」だとし、「日本の政治家やメディアの中にも、排外的なナショナリズムを刺激する発言がある」とするとともに、「総理も、意識して荒い言葉を使っているのではないかと心配している」などと懸念を表明した。岡田代表は更に、「信頼関係をきちんとつくり上げて、お互いにとって平和で豊かである日中関係・日韓関係」を構築すべきだとの考えを改めて示し、「そういう考え方が、国民の多くから支持されるに違いないという信念を持っている」などとした。
最後に、衆議院の解散・総選挙の可能性について問われた岡田代表は、「来年の夏から冬にかけての解散総選挙の可能性が高いと思っている」が、「時の総理大臣の判断で、もっと早くなることもあれば、遅くなることもある」とし、「もし、小泉総理が近々解散をするということであれば、われわれはウェルカムだ」と述べた。
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