岡田克也代表は2日朝、都内で、訪日中のニュージーランドのヘレン・クラーク首相と会談。アジア・大洋州の外交問題を中心として意見交換を行った。
会談の冒頭、岡田代表は、6年間の野党の党首を経た後、現在内閣を率いるクラーク首相に対して、政権獲得の秘訣を質問した。クラーク首相は、今の政府が信頼に足らないと証明する一方、建設的な提言をすることが野党の党首の役割であると述べ、両立が難しかったと振り返った。その上で、「次の世代の首相である」と前向きに継続して発信するよう、岡田代表に対して助言した。
会談では、小泉政権の最近の動向について意見交換がなされた。岡田代表は、自民党内にある反対勢力をクローズアップすることにより支持率を上げてきたと首相の政治手法を分析。ある意味では国民のナショナリズムをあおるような言動も、最近では見られると語った。これに対してクラーク首相は、例えば靖国参拝について、ある意味では対中関係を犠牲にしてまでも、何を国民にアピールしようとしているのかと、疑問を有することをうかがわせた。
クラーク首相はまた、自衛隊のイラク派遣について、法的根拠を質問。岡田代表は、戦闘中の国に自衛隊を派遣するのは禁止されているため、民主党としては派遣に反対したと述べるとともに、解釈の変更によって派遣が可能となった流れなどを説明した。
岡田代表は、具体的な成果を得られず閉幕した5月末の核拡散防止条約(NPT)再検討会議について、クラーク首相に感想を尋ねた。クラーク首相は、大変残念であると答え、終局的な軍縮よりも、拡散抑制に関心が行き過ぎている米国の最近の傾向に懸念を示した。岡田代表は、イランの核開発について、確たる証拠のないまま強い対応をすれば、国連が信頼を失うことにつながると述べ、クラーク首相も、外交的努力による解決を進めることが重要との認識を示した。
岡田代表は、北朝鮮のNPT問題にも同じ問題が存在すると指摘。クラーク首相は、中国による圧力が唯一の解決策であるが、日中関係の緊張状態は、核問題や日本の常任理事国入りを含めた国連改革にも、芳しくない影響を与えるとの見解を示した。岡田代表は、首相の靖国参拝の問題は、韓国にも影響を与えており、小泉首相の政策が日本の国益を侵していると、多くの人が懸念を持っていると応じた。
クラーク首相は、外国から言われて何かを決めるのではないという態度を国民にアピールする政府に対して、野党が長期的国益を目指す存在感を見せることはなかなか難しいだろうと、共感の意を表した。岡田代表は、靖国問題について、日本の国益をふまえての決断を首相に求めている民主党の立場を改めて説明した。
クラーク首相は、この夏にかけて、戦後60年を迎える日本の動向には、アジア・大洋州も注視していると表明。日本政府が、どういったトーンやムードでここ数ヶ月を対応するかに、大変関心があると語った。新しい21世紀の平和なアジア・大洋州をつくりたいというクラーク首相に対して、岡田代表は、自らの外交安全保障ビジョン「『開かれた国益』をめざして」を紹介し、アジア重視の外交観を説明した。
なお、今回の会談に、民主党からは、鳩山由紀夫『次の内閣』ネクスト外務大臣、北橋健治役員室長、藤田幸久国際局長も同席した。
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