2日に行われた衆議院予算委員会の集中審議で、民主党・無所属クラブの三番手として質問に立った岩國哲人衆院議員(『次の内閣』ネクスト政治改革担当大臣)は、靖国神社参拝、郵政民営化、生活保護と失業率等の問題等をめぐり、小泉首相はじめ関係大臣を質した。
岩國議員は、「小泉首相の靖国神社参拝には多くの方から心配の声が挙がっている。中国や韓国との関係を悪くしてまで、なぜ参拝しなければならないのか」と指摘した上で、小泉首相に戦後、天皇陛下が靖国神社を何回参拝したかを質した。小泉首相は、「何回参拝したかを調べる必要があるとも思わない。参拝されたことは承知しているが、何回かは承知していない」と答弁。岩國議員は、調査に基づき天皇陛下は1度も参拝したことがないことを指摘。また、1985年8月15日に靖国神社参拝を行ったにもかかわらず、その後本会議で、「戦争の指導者や政治家は国民的に批判されねばならない。戦争指導者や政治家と国の命令で戦死した将兵たちとは明らかに立場・責任が違う。近隣諸国から批判が出て、日本が孤立したら果たして英霊が喜ぶか。第一線で戦ったまじめな将兵たちは、公式参拝見送りを理解してくれると思う」と説明し、参拝を取り止めた中曽根元首相と、認識を共有するかを小泉首相に質した。これに対し首相は、「中曽根元総理ご自身の問題ですから尊重している」などと答弁するにとどまった。岩國議員は、歴代首相の中に小泉首相の靖国神社参拝を肯定する意見は見られないことを指摘し、「そうした行動で中国や韓国との関係を悪くするのは総理として問題」と批判。中国や韓国との対話重視の必要性を改めて提議した。
岩國議員は続いて郵政民営化の問題を取り上げ、米国はじめ諸外国では郵便事業は国営で行うのが妥当とする流れがあるとした上で、官営で行うべきとの考えを示した。小泉首相は「アメリカの事情と日本の事情とは違う。各国の事例を参考にしつつもより良い民営化にもっていく」と強弁した。岩國議員は「どこがアメリカと日本とは違うのか」とし、郵便事業は国営で行うべきとの考えを重ねて示した。
岩國議員はまた、郵政公社を4分社化して発足する株式会社名を「日本郵政株式会社」「郵便局株式会社」とした点について取り上げ、「官名詐称。官の名前を偽り、同業他社に対して政府のバックがあるかのごとき印象を与える」とし、民営化とは名ばかりだとして名称を与えるよう要請。公機関であるかのごとき印象を与える名称は本来、商業登記法で認められていないと指摘した。その指摘に対して南野法相は、「公の業務があるときには、それと誤認するような称号は認められない。しかしこれから民営化されれば国の業務ではなくなるので、誤認するような恐れはないと考える」などと苦しい答弁を繰り返した。こうした不十分な答弁を受けて岩國議員は、今後引き続き追及していく姿勢を示した。
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