衆議院の郵政民営化に関する特別委員会は3日、小泉首相と関係閣僚が出席して郵政民営化関連法案の総括質疑を行った。国民本位の立場で、法案の問題点を白日の下にさらすべく、民主党は初めて質疑に臨み、午前中の審議では小沢鋭仁衆院議員がまず質問に立った。
小沢議員は冒頭、平成14年に日本郵政公社法を成立させたにもかかわらず、経過期間2年で新たに郵政民営化関連法案提出に至った小泉首相に対し、「俗に言う、朝令暮改というのはこういうことを言う」と批判。目まぐるしい変化は国民不信を招きかねないとする認識を示し、「民営化を進めるのであれば、2年間努力してきた郵政公社の生田総裁はじめ職員に謝ってから進めるべき」として、方向性が定まらない小泉政治を問題視した。
小沢議員はまた、「郵政民営化関連法案は勉強すればするほど、奇妙奇天烈、複雑怪奇の法案だ」との見方を示し、国民生活に直結する問題を重点的に掘り下げたいとして、まず民営化後の郵便料金について竹中郵政民営化担当相を質した。
竹中担当相は、郵便の取扱量が減少する現状にあっては、生産性を上げ、経営努力をする中で初めて(郵便)取扱料金は下がってくるなどとする認識を提示。小沢議員はそうした答弁を受けて、「民営化によって郵便料金が安くなるというのであれば国民は喜ぶ」と念を押した上で、「民営化すると郵便料金が高くなるからわが国では(民営化を)行わない」とするフランスのシラク大統領などの発言を取り上げ、民営化によって郵便料金が上がるようでは本末転倒の改革と断じざるを得ないとの考えを示した。
更に小沢議員は、都市銀行等が時間外取り扱い時には手数料を取っているのに対し、郵便貯金口座では手数料が発生しない点をめぐっては、「なぜそうしているかといえば、郵便局は庶民の金融、簡保は庶民の保険であるから、国民が負担をしないで済むようしている」と指摘。庶民の金融や庶民の保険は国民にとって必要最小限の享受すべき権利だとする認識に基づき、そうしたサービスは官が行うのが妥当とする方向性を改めて提示。各社世論調査で郵政民営化肯定派は国民の少数に過ぎない実態にも触れ、求められる改革とは程遠い現状に言及し、国民世論に耳を傾ける必要性を指摘した。小沢議員は最後に、「現在、一銭の税金も使っていない郵政事業に、税金を入れてまで改革をするのは愚の骨頂だ」と厳しい口調で問題提起して、質問を締めくくった。
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