民主党・無所属クラブの松野頼久衆議院議員は、衆院郵政民営化に関する特別委員会で、五十嵐文彦衆院議員に続いて質問に立ち、郵政公社職員の加入年金制度や政府法案の民営化目的などについて、小泉首相や関係閣僚と激しいやり取りを戦わせた。
冒頭、松野議員は、郵政公社職員が国家公務員共済年金(国共済)から厚生年金に移行する時期について、竹中郵政民営化担当相に改めて質した。竹中担当相は、JRやNTTの民営化の時と同様の移行期間を設けると答弁。松野議員は、「民営化の理念の一番大きな柱は、公務員を民間人にすること」だと改めて指摘。国共済にとどまり、移行期が未確定の状態で民営化と言えるのか、4つの事業会社の収支についてまとめられた「骨格経営試算」の根本となる数字の根拠も不明になるのではないかと竹中担当相を追及した。
続いて松野議員は、「国民から見て、国営か民営かの(民営化の)形態は関係ない。国民が一番望むことは、いかに安い料金で良いサービスを得られるかだ」との見解を示し、ハガキ・切手などの郵便料金の民営化後の見通しを尋ねた。小泉首相は、道路公団の民営化で高速道路の非常用電話の設置費用が低くなったなど、他の民営化の例を挙げて、「民間が参入すると必ず下がってきた」「民営化後の値上げは難しいのではないか」などと民営化のメリットを強調。
これに対して、民間企業によって港までしか荷物が着かず、住民が港まで取りに行く島嶼の例などを松野議員は挙げて、小泉首相や竹中担当相は、「民営化のための民営化」を追求していると鋭く指摘した。その上で松野議員は、国民の関心である「うちの近くの郵便局はどうなるか」の質問に答えられるかと迫った。小泉首相は、政府案が中途半端で非効率という議論は承知しているとし、郵便局が「都会については減る」との見通しを述べた。
松野議員はさらに「国民に関係のあるところで何が良くなるのか」と、現在の公社の業態を変える理由の説明が足りないと重ねて指摘し、政府が推し進める「大きな冒険」に警鐘を鳴らすとともに、公社のままでの改革の重要性を強く訴えた。
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