参議院決算委員会で7日午前、小泉首相はじめ全閣僚出席の下、平成15年度決算の締めくくり総括質疑が行われ、民主党・新緑風会からトップバッターとして松井孝治参院議員が質問に立った。松井議員は、国のITシステム予算および決算や厚生労働省職業安定局の天下り問題、幹部国家公務員の意識改革等について質した。
国のITシステムの予算・決算をめぐっては、データ通信サービス契約において「社会保険庁が一番ひどい」との認識を松井議員は示した上で、ハードもソフトも運用サービスもすべてどんぶり勘定で、競争入札もないまま同一業者に随意契約で発注し続けている実態を指摘。この10年間でコンピュータの価格が60分の1になるなど、低価格化が進む中にあっても、そうした推移に見合った買い叩きをすることもなく、同時に無用なシステムを作成・請求されても、政府機関は費用・作業内容等をチェックすることなしに、業者の意のままに税金投入を続けてきた実態も質疑を通じて浮き彫りになった。
また、平成15年度に政府全体で投入したとされるIT投資額予算6000億円について、松井議員が平成15年度決算の数値を示すよう求めたのに対して、会計検査院長は、「予算の科目と実際に使用される決算の科目が必ずしも一致していない関係もあって、個々の契約実態をすべて洗い出さないと決算額は算出されないのが現在の仕組み」などと答弁。政府のIT投資額を質したのに対しても、IT関係の政府の取りまとめを行う行政管理局は、「予算ベースでは把握しているが、決算ベースでは把握していない」などと答弁するなど、極めてずさんな構造が明らかになった。松井議員はこうした現状を前に、小泉首相はじめ関係大臣に「厳しくメスを入れて欲しい」と要請し、丸投げの実態を見直す必要性を強調した。
松井議員は続いて、売上高の9割を厚生労働省の受注業務で成り立っている株式会社CSSの役員のほとんどに、厚生労働省の職員が天下って就任している実態を指摘。人事院総裁に質す中で、本来、高額な契約関係がある場合は大臣の承認を得なければならないにもかかわらず、大臣の承認なしに再就職は行われており、国家公務員法違反である点が明らかになった。松井議員は小泉首相に対し、こうした天下り是正に精力的に取り組むよう改めて強く求めた。
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