15日午後、衆議院郵政民営化に関する特別委員会において、安住淳衆院議員が質問に立ち、小泉首相が大雑把な現状認識で郵政民営化を判断している現状を明らかにし、郵政民営化の危うさを明確にした。
冒頭に安住議員は、自らが総務委員会の筆頭理事として体験した郵政事業の公社化の経緯を踏まえて、民営化法案は「スジの悪い法案」だと指摘し、これに対して首相は、「与党の中からも反対があり、野党も反対しているが、良い法案だ」と強弁したが、与党席からも拍手はほとんどなかった。
安住議員は、中央省庁改革基本法第33条1項6号において、「民営化等の見直しは行わない」としている点を改正せずに民営化を行うことは、法律の継続性から見て理屈が通らないと指摘したが、首相は、「法律解釈は専門家に聞くべきで、政治家同士では政治論をすべきだ」と述べ、最後は答弁を読み上げる紋切り型の答弁に終始した。また安住議員は、首相は任期内の民営化を果たすため、システム統合等が無理であるにもかかわらず拙速に法案を提出していること、後任首相が郵政事業を再び公社化する法案が提出される可能性を否定できないことを指摘したが、首相は開き直った答弁で応じた。
続いて安住議員は、民営化後の収益試算を取り上げ、国際物流、貸付、生保、コンビニなどの各事業の予想収益が現実の企業と比べて非現実的であると鋭く指摘したが、竹中民営化担当相は、専門家からのヒアリングを踏まえた試算であり問題ないと強弁した。
ここで安住議員は、わが国の郵便事業の開祖である前島密が民営化を美化するキャラクターとなっている、「あすなろ村の郵便局」と題する自民党の武部幹事長の指示でつくられたとされる紙芝居を取り上げ、その出鱈目さをつぶさに指摘した。そして逆に、「あすなろ村の惨劇」と題する紙芝居を用いて、民営化のもたらす暗黒の未来を提示した。これに対して首相は、「悲観論からは未来への挑戦はない」とうそぶく答弁を行った。
安住議員は最後に、窓口会社が銀行の代理店ともなれることから見ても郵政事業の一体的運営は失われると指摘し、国民の声を聞いた政治をすべきだと訴えて、質問を終了した。
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