トップ > ニュース
ニュース
ニュース
2006/01/26
【衆院予算委】馬淵議員の鋭い追及に、安倍官房長官しどろもどろ
記事を印刷する



 衆院予算委員会で26日、馬淵澄夫議員が松本剛明議員に続いて質問に立ち、耐震強度偽装問題をめぐり、小泉首相はじめ北側国土交通相、安倍官房長官らを質問。偽装マンションの立て替え、移転の総合的支援として計上されている50億円の補正予算に関し、被害住民の声に基づきその是非を質していくとの姿勢を表明した上で、質問に入った。

 馬淵議員は、被災者生活再建支援法の議論でも論点となった、私有財産の回復に公的資金を投入することの是非についてまず質問。「住宅は典型的な個人財産であるから、自助努力が必要。自然災害などで住宅を失われた方とは別の方とのバランスも必要」と述べ、住宅本体や補修費に対する支援を財務省は認めないとする考えを谷垣財務相が表明した平成16年11月の災害特での議論を取り上げ、その真意を現時点でも変わりはないかを質した。

 谷垣財務相は、「その問題に関してはその発言でいい」と語った上で、今回の問題に関しては状況が違うとの認識を示し、公的資金を導入するのは妥当とする考えを示した。

 北側国土交通相も「倒壊する恐れがあるのに何もしないで放置するというのでは、それこそ行政が何の責任も果たしていないことになる」などとして、公的資金投入にむけた補正予算計上は妥当とする同様の認識を示した。

 しかし実態は、「国家賠償上の責任は負わないが、行政上の責任はある」との観点で行われる公的資金投入であり、「総合支援、国の支援」といった言葉が先行された結果、被害住民へ批判が集まるような結果も付随している点を馬淵議員は問題視し、本来は国土交通省の責任を明確にして、補償・賠償責務を国が中心となって行うべきものであることを強調。「支援という言葉と責任を使い分けているのはおかしい」と重ねて指摘した。

 馬淵議員はまた、周辺住民の安全確保という観点ではマンションもホテルも同様であるにもかかわらず、ホテルは公的資金導入の対象外となっていることの矛盾を追及。その理由について北側国交相は「ホテルは建築主、建築業者は選べる。安心・安全を確保するためにもホテル事業者に対応してもらう」などとし、周辺住民の安全確保という観点での公平性を担保できない答弁を繰り返すだけだった。

 「欠陥ある制度を今日まで放置してきた。立法時に予見できなかった行政並びに立法府の責任がある」とも馬淵議員は述べ、民間の指定検査で建築確認が行われるようになった平成10年の建築基準法改正時の議論を取り上げた。

 建築確認に不備に伴い建物の倒壊・不具合等が生じた場合の責任について民主党議員が質したのに対して政府委員の住宅局長は民事上の損害賠償責任となると明確に答弁したことを馬淵議員は指摘し、行政上の責任は何ら考慮されていなかったことを明らかにした。

 また、政府委員は「格段に(検査確認の)スピードが速くなる」と述べつつ、検査期間短縮化に伴う弊害がないかとの質問には行政側は確認法令に合致しているか否かの一点だけを事務的にさばくだけと答弁していた。

 馬淵議員はこうした民間開放に伴う制度上の欠陥を何ら予見していなかった実態を浮き彫りにし、今回の問題の背景には「抜本的に見逃してしまった政府の責任」があることを指摘した。見解を質された小泉首相は「被害を受けている国民を責任がはっきりしないからと手をこまねいていていいのか」などとした上で、「ごまかしを見抜けるような対策はどうあるべきか。この問題は大変大きな問題だと思っている」などと的外れな答弁をするにとどまった。

 続いて、この問題をめぐり、ヒューザー社の小嶋社長との関与が取り沙汰されている自民党の伊藤公介元国土庁長官の証人喚問に関連して質問。ヒューザー社と取引きがある伊藤議員のファミリー企業の役員は議員の政策秘書でもある親族であることを明らかにした上で、政策秘書に義務付けられている兼業届けは提出されているかを質問。衆議院事務総長の答弁からは、閉会中の馬淵議員からの追及等で関与が世間の知るところとなり、13日にあわてて提出されたことが明らかになった。

 証人喚問実現をどう見るか質したのに対して小泉首相は「自ら記者会見をして説明をされたよう。だれであれ、疑惑を晴らすために行動をとるのが筋」などと答弁した。

 続いて、安倍官房長官の秘書に国土交通省への働きかけを依頼したと小嶋社長が証人喚問で行った証言を馬淵議員は取り上げ、「官房長官の後援会である安晋会には入っていない。国交省への働きかけは一切していない」と表明した記者会見での発言の真偽を安倍官房長官に質した。それに対して安倍官房長官は「小嶋社長の発言を鵜呑みにして話している。石原慎太郎知事も関与を否定している。あなたが言った小嶋社長の発言が間違っている」などとしどろもどろの答弁。。「間違っていることを指摘するのは偽証」などとも強弁し、安晋会は親睦をはかる会に過ぎず、ヒューザー社の出席も一回限りのビジターだとした。

 馬淵議員は証人喚問後に小嶋社長が事の全容を語ったとされるテープを入手したこと、また、安晋会は親睦会などではなく「後援会」として位置づけられていることは独自が入手した後援会幹部の名刺からも明らかであることを指摘した。こうした指摘に安倍官房長官は狼狽とも言える表情を見せ、視点も定まらなかった。

 小嶋社長が明確に証言しているからには安倍官房長官の政策秘書の参考人招致が不可欠との認識を示した馬淵議員は、参考人招致を理事会で協議するよう要請した。

 最後に「小泉改革で真っ先にやらねばならないのは政官業の癒着を断ち切ることではないか」と強く訴え、この問題の真相究明は政争の具などではないと強調。「市場万能主義、経済至上主義の小泉改革のほころびがこの問題の縮図として表れている」との見方も示し、「国会で明らかにすること、何をそれほどまでに恐れているのか」と、政府側を一喝。国民の安心・安全確保に向け、前向きに取り組むよう強く求め、質問を終えた。

記事を印刷する
▲このページのトップへ
Copyright(C)2024 The Democratic Party of Japan. All Rights reserved.