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2006/01/27
【衆院運営委】実質的「議員年金廃止」を盛り込んだ民主党案否決
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 衆院議院運営委員会で27日、国会議員互助年金(議員年金)の廃止に向けた議員年金廃止法案が審議され、議員年金の完全廃止に繋がらない見かけ上の廃止にすぎない与党案は賛成多数で可決、実質的「廃止」を盛り込んだ民主党案は否決された。
 
 民主党案では、現職議員の議員年金制度の完全廃止を盛り込み、廃止に伴い、すべての現職議員にこれまで納付した額の5割を返還。議員OBへの支給は続けるが額を3割減らすこととしており、年金一元化に向けて「隗より始めよ」ということで、国会議員自らの議員年金改革に真っ向から切り込む姿勢が現れている。
 
 一方、与党案は、現行制度は廃止するとしているものの、〔1〕在職10年以上の受給資格のある現職議員に対し、退職時にこれまでの納付額から20%カットした額を一括して受け取るか、現行より15%削減した額の年金を月々受給するかを選択できる〔2〕議員OBへの給付は最大10%削減して支給を継続する――などとする経過措置が示されており、廃止は見かけ上で国庫支出の大幅減額は望めない実質現行制度継続ともいえる内容だ。
 
 提案理由説明を行った河村たかし議員は、5年前に議員年金廃止論を打ち出した当時は理解者はまばらだったが、民主党内の一致した賛同を得て法案提出に至ったとした上で、「議員はダブル受給であり、議員年金が廃止されても国民年金がある」と指摘した。しかも、約10万円の納付金は歳費を充てたものであり、全額税金であると分析。「議員は国民の皆様と同じ年金で生活するのは当たり前」と主張し、パブリックサーバントとして議員は国民の皆様と同じ年金で生活するという当たり前のことを憲政史上初めて宣言するのが民主党案だと説明。「まさに民主党が先んじて与党を動かした、『国会議員互助年金法を廃止する法律案』の主旨、本質を理解し、可決を」と述べ、提案理由説明を締めくくった。
 
 質疑には笠浩史、小宮山泰子両議員が立ち、民主党案、与党案それぞれの内容を質した。
 
 笠議員は「老後の心配をして国会議員になった人はいないはず。覚悟をもって国政に望む姿勢こそ国民は見ている」として、小泉首相が廃止に向けて指示を出したことを英断と評価しつつも、首相発言後1夜にして与党の姿勢が急変したことに苦言を呈し、選択の余地が残る与党案は廃止法案には値しないとの考えを示した。
 
 笠議員はまた、本来の「廃止」を盛り込んでいる民主党案への反対を表明する与党側に対し「民主党案のどこが問題で反対なのか」を質すと、与党側は従来は受給できた年金が受けられなくなることは憲法29条で謳う財産権の侵害に当たるなどと答弁。従来の額より減額となる与党案も同様ではないかと笠議員が指摘すると、与党案は許容できるぎりぎりのラインだなどと、全く理解できない根拠ともいえない主張を繰り広げた。
 
 笠議員は「現職の国会議員が廃止をしようと謳っているからには廃止と呼べるような法案にしなければならないし、そうしなければ偽装と言われかねない」として、民主党案・与党案とも奇しくも「国会議員互助年金法を廃止する法律案」と同一の名称であるが、「与党案は新たに国会議員年金法を創設する法律」と批判した。
 
 続いて質疑に立った小宮山議員は国庫負担の問題を取り上げ、与党案では国庫負担減額が期待できないとの見方を示すとともに、その点をめぐる民主党案の内容について質問した。
 
 それに対して民主党案提出者の園田康博議員は、「現職議員の国庫負担が生じない」として、民主党案ではかなりの国庫負担の減額が期待できると説明。年金制度一元化に向けた議論のなかで、民主党案こそがその線に沿ったものであることを明らかにした。
 
 また、与党側の質問に対し細野豪志議員も答弁に立ち、与党案に盛り込まれている経過措置は結果的には40〜50年間、現行制度が継続することになる実態を明らかにし、与党案について「廃止法案と謳えるものではない」と厳しく批判した。
 
 質疑後に民主党案に賛成、与党案に反対の立場から討論に立った鈴木克昌議員は、「与党提出法案に反対する最大の理由は、同法案が現職議員にとって極めて有利なものであり、実質的には現在の議員年金制度の延長に過ぎないことだ」と指摘。現職議員は何ら痛みを伴わないばかりか、国民の血税を使い続ける結果となるとの見方を示した。
 
 「議員の特権を排して国民と同じ目線に立つこと、仮に今後国民に痛みを求めるとすれば、その前に国会議員がそれに先んじて自らを律することが議員年金改革の趣旨だが、与党案は現職議員の既得権益を守ることを最優先している」と重ねて批判。一方の民主党案については「現職議員に最も大きな痛みを求める内容となっている。『隗より始めよ』で国会議員こそがまず自ら痛みを伴う改革を断行することを通じて国民の政治に対する信頼を回復することこそが今回の改革のスタート地点である」と主張し、討論を締めくくった。

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