27日午後、衆議院本会議において、長浜博行衆院議員(『次の内閣』ネクスト環境大臣)が、「石綿による健康被害の救済に関する法律案」および「石綿による健康等に係る被害の防止のための大気汚染防止法等の一部を改正する法律案」(あわせてアスベスト関連法案)の趣旨説明に対する代表質問を行い、行政の不作為を追及した。
長浜議員は、アスベストによる被害の重大性を述べた後、これまでの政府のアスベスト問題に対する対応が縦割りで行われ、国民への情報開示と国民との問題意識の共有という姿勢が欠けていたと指摘しつつ、国民の税金を用いて情報の収集と分析を行いながら、将来にわたるアスベスト被害を招いた責任は厳しく問われるべきであるとした。そして、政治における結果責任と同じく、行政における経過責任を問題とし、事なかれ主義とセクショナリズムによる結果としての「経過における“なさざるの罪”すなわち行政の不作為」を明らかにしなければ被害者は納得できないと訴えた。
長浜議員は、民主党はすでに昨年の特別国会に国民と一体になってアスベスト対策に総合的に取り組むための枠組みを定めた「アスベスト総合対策推進法案」を提出していることを示して、政府の対応の遅れを明らかにするとともに、政府案は民主党案の一部を取り出し、形ばかりの「お見舞い」をするものに過ぎないと指摘した。
続いて長浜議員は法案の内容に踏み込み、上場企業による損害賠償例や労災保険による補償に比べて、この法案だけが救済手段となるそれ以外の被害者は命の代償が300万円に過ぎず、「死に至る原因物質が同じにもかかわらず、命の値段に差がある」ことをどう説明すべきかと迫った。
また長浜議員は観点を変えて、救済財源は国、地方公共団体および雇用主が拠出するとなっている点を捉え、地方公共団体の首長はこの点について住民のコンセンサスを得ているのかと問った。そして、対策の立案にあたっては、首相を長とする「アスベスト対策会議」を立ち上げ、患者や遺族なども参加する「アスベスト対策委員会」を設置して当たるべきであると主張した。さらに、国会審議にあたっては、特別委員会の設置と合同審査の実施を行うべきであるとした。
長浜議員は、「アスベスト問題はある意味でビューロクラシーの盲点ともいうべき要因がある」と語り、安部官房長官に官僚の答弁書ではなく自身の言葉での答弁を求めるとともに、予算委員会においても質問者となって三つの内閣において厚生大臣を歴任した小泉首相をはじめとする関係大臣に質問をすると予告した。
以上の長浜議員の代表質問に対して、安部官房長官が答弁に立ったが、アスベスト被害は長い期間をもって発病し、原因の特定が困難であり、現状では労災以外の補償手段がないので、政府として総合対策を立案し、総合的なアスベスト対策を着実に実施していくと語り、通り一遍の答弁を行うのみであった。
本日午後4時から、衆院環境委員会においてアスベスト関連法案の委員会審議が行われ、民主党からは岡本光功、田島一成、近藤昭一、村井宗明、吉田泉の各衆院議員が本法案の問題点について質問する。
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