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2006/01/30
【衆院予算委】補正予算可決 中川農水相発言めぐり審議は混乱
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 衆議院予算委員会は、30日22時15分に再開された。冒頭、安倍官房長官が特に発言し、答弁書の内容を朗読した上、これは「厚労省及び農水省の当時の認識・考え方を内閣として是としたもの」であり、「必ずしも特定の行為をなすことを内閣として決定したものではない」と強弁。輸入再開の決定は、答弁書に反しているわけではないとの答弁がまたも繰り返された。同時に安倍官房長官は、「院に対して十分な説明を行わなかったことは事実」だして、「まことに遺憾だ」とした。

 長浜博行衆院議員はこれに対し、「ご理解をいただきたいと言われても、評価ができるわけがない」とまず厳しく批判を加えた。安倍官房長官が更に、「現地調査を実施するとは書いていない」「認識と考えを述べたもの」などと、理解し難い答弁を並べたため、長浜議員は、なぜ閣議決定をやり直さないのか、本気で国民の皆さんに説明できるのか、厳しく詰め寄った。

 長浜議員は更に、昨年8月の衆院農水委の米国視察報告書の内容をもとに、輸入再開には事前のチェックが必要だと認識していたのではないかという点を質したほか、輸入再開前に現地調査を、としている答弁書が出される前の、昨年10月31日に石原農水事務次官が会見で、輸入再開前に査察実施について問われ、「やっても意味がない」、「査察は輸入が行われてからのこと」と述べている点についても厳しい追及を展開した。答弁の中で中川農水相は、最高責任者として訂正をさせたと述べ、長浜議員は、そこまで最高責任者と言うのなら、閣議決定に反したことに「責任のとりようがあるではないか」と更に厳しく指摘を行った。

 また、小泉首相は答弁の中で、「食の安全について万全を尽くすことで責任は十分に感じている」として、中川農水相を辞任させる考えのないことを明らかにした。長浜議員は再び午前中の中川農水相の答弁を引き、「閣議通りにしなかったということは、閣議決定に違反したということではないか」と迫った。これに対して安倍官房長官が、その時の認識や考えを閣議として是としたもので、その後認識が変化をしたということだ、などとしたため、「答えになってない」などと怒号が飛び、審議は中断。政府側からは、冒頭に表明のあった統一見解の棒読み答弁が続いて質問に答える形をとらなかったため、審議はその後も度々中断した。

 ここで長浜議員は川崎厚労相に対して、「閣議決定通りに、あなたはしたのか、しなかったのか」を改めて問いかけた。川崎厚労相は、厚労・農水両省相談の上やってきており、「閣議決定に反したとは思っていない」と明言して、午前中の中川農水相の答弁との食い違いを露呈。「どういうことか」と詰め寄る長浜議員に対し、安倍官房長官の、答弁書は当時の「考え方と認識を示したもの」で、「その後の認識の変化」があったとする答弁に、長浜議員は納得せず、またも審議は中断した。

 長浜議員は、「これは普通の会話の問題だ、私にはフレーズとして理解ができない」と断じ、誠意ある答弁を求めたが、政府側の答弁は混乱をきわめた。「閣議決定の通りしたのかしなかったのか、申し上げているだけだ」と迫る長浜議員に、「(松野議員への答弁の際には)行為なのか認識なのか、冷静に分析することができなかった」、「政府決定通りにしなかったということではない」などとした中川農水相の答弁にいたっては、午前中の答弁と大きく矛盾しており、大島委員長が「(事前調査という)考え方の通りにいかなかった経過を手短に」などと助け船を出す始末となった。それでも中川農水相は午前中の答弁に関し、「閣議決定違反ではないという趣旨で申し上げた」と強弁をした上、「意志として違反をしていない」などとしたため、委員室は再び怒号に包まれた。

 更に安倍官房長官が、政府見解を棒読みしつつ、中川農水相の答弁が午前と夜とで大きく食い違ったことを、「事前に通告がなかったことから」、「答弁について言葉足らずだった」などとしたため、審議は中断。大島委員長は、答弁の内容について変わったことの説明が不足していることなどについて結果を議院運営委員長に報告するとして審議を打ち切り、長浜議員は、「立法府の権威、信頼の回復のために、与野党ともに努力を」と呼びかけ、このような答弁で委員会が右往左往していることに、「悲しい思い」をもって質問を終えるとした。

 この後、質疑を経て、討論・採決となり、民主党・無所属クラブからは、北神圭朗衆院議員が討論を行った。北神議員はまず、国民の安全と安心の確保が政治の責務であることを訴え、政府提出の補正予算はこの責務をないがしろにするものであると、その本質を衝いた。北神議員は反対の理由として、第一に補正予算に未曾有の雪害対策が含まれていないこと、とりわけ民主党の再三の提案にも拘らず被災者の切望する住宅本体再建に対する公的支援を行おうとしないこと指摘した。そして第二に、耐震偽装問題となっている建物と同様の強度の小中学校への対策が盛り込まれていないこと、第三にアスベスト被害者への補償額が300万円にとどまっていることを指摘。第四として、閣議決定されている事前調査を破ってまで行った米国産牛肉輸入再開は、食の安全を脅かすものだと指摘した。北神議員は最後に、補正予算は多くの問題を抱えており、小泉政治の影の部分を手当てするためのものであると批判して、反対討論を締めくくった。

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