衆議院政治倫理審査会(政倫審)は5日、泉井純一・石油卸商からの巨額献金疑惑を持たれている山崎拓・自民党政調会長の審査を行った。山崎議員の弁明が泉井氏の衆院予算委員会での証言と大きく食い違ったため、民主党は今後、(1)予算委が泉井氏を偽証罪で告発するか、告発しないのなら山崎議員の証人喚問を行うべき(2)政倫審に泉井氏を参考人招致し、事実解明すべき――との立場で、野党の共同歩調を追求する。
政倫審の審査は原則非公開とされているが、民主党の強い要求により、5日の審査では20人の議員傍聴が認められた。
山崎議員は冒頭の弁明で「泉井氏から平成3年から7年まで合計2億2千万円の政治資金を受け取ったが、すべて旧渡辺派の政治団体に入れた」とし、個人への献金を否定した。
○建設相辞任直後の「口利き」認める
民主党からは仙谷由人議員が質問に立ち、「泉井氏に故・渡辺美智夫氏の自民党総裁選のカネを用意してくれと依頼したか」ときいたが、山崎議員は否定。「なぜ泉井氏を刑事告訴しなかったのか」との仙谷議員の追及には「彼に友情を感じていた」と答え、泉井氏が山崎議員を建設相にするよう渡辺氏に働きかけたとしている部分だけを名誉毀損で訴えている不自然さは解消されなかった。
泉井氏は昨年11月28日の衆院予算委で、民主党の山花貞夫議員の質問に対して「献金の原資は三菱石油の当時の山田社長から出ていた」と証言し、ベトナム油田開発に関係する三菱石油による贈賄の疑いも示唆していたが、山崎議員はこの日、仙谷議員の質問に対し、「三菱石油経由で出ていたとは知らなかった」とし、建設相時代にベトナム訪問した際にも「石油担当の高官とは会っていない」と述べた。
さらに仙谷議員は「大和工商リースという会社を知っているか」と質問。山崎議員は「知っている」と答え、仙谷議員が「東京湾岸縦貫道路の工事受注の要請があったか」と尋ねると、「秘書にあった。泉井氏から申し出があった」とし、建設相辞任直後、道路建設工事受注をめぐって口利きをした事実を認めた。仙谷議員は「受注がうまくいった直後の93年7月、大和工商リースからの500万円を含む1500万円を泉井氏から献金されたのではないか」と追及。山崎議員は「見返りはなかったと聞いている」と述べた。
審査終了後、仙谷議員は「すべてを故・渡辺氏に押しつけ、かえって泉井証言との食い違い、不自然さを際立たせた」として、来週にも政倫審を再開し、泉井氏の検事調書提出、参考人招致を行うべきとの考えを示した。
民主党の石井一国対委員長は同日の記者会見で、自民党が数の力で山崎議員の予算委証人喚問を拒否していることを改めて指摘し、「スジとしては山崎議員を予算委で喚問するべき。それを逃げるようなら、うしろめたいものを隠蔽するために政倫審を使ったということであり、許しがたい」と批判。「参院選前に処理したい」として、今国会中の決着を強く求めた。
|