岡田克也代表は20日午後、早稲田大学を訪れ、「民主党岡田代表語る〜政権奪取への戦略」と題して、早稲田大学政経学部河野勝ゼミ・同大学政友会主催の講演会で、民主党そして自らが考える日本の政治について語った。講演後には教室を一杯にした700人弱の学生と活発な意見交換を行った。
岡田代表は日本の政治について、先進国の中で例外的なものであるとの認識を示し、民主主義は選挙で政権が代わることが前提でありながら、50年間政権交代をなし得たのは細川・羽田政権下のたった11カ月に過ぎないことを指摘。その上で岡田代表は、先の総選挙・昨年の総選挙で民主党が比例第一党となったことを強調し、「民主党が自民党を上回る国政選挙が2回行われたことになる。残されたのは政権交代だ」と語った。政権交代を目指す党の特徴として岡田代表はまず、自民党に顕著な派閥が存在しないことを指摘。同時に監査法人による監査制度を導入し、政党にありがちな不透明な金の流れを明確にしたこと、「地盤・看板・かばん」を持った世襲議員でなくても、志さえあれば国会議員になる道を公募制度を確立することで可能にしたことを明らかにした。
次に岡田代表は、外交政策に関して、まず、「日本は、成長する可能性を秘め、現に成長しているアジア地域にあることは幸運」と語り、自らの外交安全保障ビジョンにも示した通り、アジア重視の姿勢が不可欠と強調。対中国・対韓国関係をめぐっては、「お互いを必要とする」との観点に立たなければ、平和も豊かさも持続できないと指摘した。また、国際連合について、「万能ではないが、国連を超えるものはない」との見方を示し、国連重視の必要性を提起。同時に安全保障については、「日米同盟は重要」と岡田代表は述べつつも、冷戦時代のように敵が明確だった中での同盟関係とは性質を異にしつつあると指摘。そうした変化への対応として、最小限の脅威に対しては日本独自に対処できるような気概を持つ必要があると語った。
内政問題をめぐっては、多様性を前提とする社会に対応していくためにも、中央集権から分権へと国の形を変えていくべきだと主張。「住民から一番近い市町村に権限を移譲していき、そこで政治が行われていく仕組みに変えていかなければならない」と述べた。
意見交換では、教室を埋め尽くした学生の手が次々と上がった。政権交代を期待すると前置きした男子学生からは、「何らかの特別な手立てを講じないと、比例第一党になったが政権交替は果たせなかったという事態にならないか」との指摘があった。岡田代表は、「日本人は賢明であるという確信を持っている。そこは揺らがない」と何度も主張。国民主体の政治の実現をめざす民主党の主張が国民に届けば政権交代は可能として、国民への確かな期待感を寄せた。また、国連の常任理事国入りに赤信号が灯り始めている現状をどう見るか問われたのに対しては、「中国・韓国がもろ手を挙げて賛成しないことは最初から分かっていたが、大声で反対しない方向にもっていくことはできたはず」と述べ、日本政府の不手際を批判。それと合わせて、日本がドイツ・ブラジル・インドと組んで4カ国のグループとして常任理事国入りを目指す形が果たして妥当だったか、また米国とのコミュニケーションは果たして十分だったか等にも疑問を呈した。
岡田代表は最後に、「議論ができて楽しかった」と語るとともに、「政治は誰かが変えてくれるものではなく、国民の皆さん一人ひとりがそれに参加することで初めて代わるもの。特に若い皆さんが選挙に行かなければ政治は変わらない」と語り、政治に関心を持って欲しいと訴え、より一層大きな拍手の中、講演を締めくくった。
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