●対中無償援助凍結、解除の経過依然不明
民主党の藤田幸久議員が橋本総理のODA疑惑について提出していた質問主意書に対して、政府の答弁書が9日、示された。
藤田議員は5月28日に提出した主意書の中で「中国の白求恩(ペチューン)医科大学への援助を行うか否かについて、職務権限を有していたのは誰か」などの点を問いただしていたが、政府答弁書は「無償資金協力は外務省が所掌」などとする型どおりのものにとどまった。また、多くの点で既に公表されている国際協力事業団の報告書に基づいており、援助の事前調査団の通訳、面談者などについては「報告書のとおり」としている。
「当該援助について、大蔵大臣当時の橋本総理が予算の増額などを指示したか」との質問には「ご指摘のような事実はない」と答えているが、「1989年の天安門事件を受けて対中国円借款が凍結されたが、凍結解除について蔵相当時の橋本総理が中国側から要請を受けたことはあるか」との質問には、国際会議の場で中国政府関係者から度々非公式要請を受けていたことを認めた。
日本の無償援助を引き出す任務を負っていたのではないかとされる中国人女性については「橋本総理よれば、いくつかの会談で通訳を行っていた記憶があるとのこと」と答えるにとどまった。
記者会見した藤田議員は「橋本総理の訪中時の通訳については、便宜供与の資料は1〜5年しか保存していないとしているが、政府要人の外国での行動記録が外務省にないとしたら、外交の継続性に問題がある」と指摘した。同席した伊藤忠治議員は「予算委員会でも引き続き追及していく」と語った。
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