衆議院決算行政監視委員会で22日、民主党・無所属クラブの松本龍議員に続いて、岡田克也代表が質問。20日に行われた日韓首脳会談で争点となった靖国参拝や歴史認識の問題、子育て支援対策、年金問題等を取り上げ、小泉首相に厳しく注文をつけた。
「今日6月22日は日韓国交正常化40周年の記念すべき日だ」と語った岡田代表は、1998年に小渕元首相と金大中元韓国大統領との間で会談を経て出された、21世紀に向けた新たな日韓パートナーシップを構築するとした日韓共同宣言に言及し、「(両首脳が)リーダーシップを発揮して、そういう流れをつくり出したと評価している」と語った。それに比して、20日の日韓首脳会談は「寒々としたものだった」と岡田代表は述べ、韓国側にも問題や責任はあるが、小泉首相にも責任があると指摘。首脳会談という貴重な機会から何ら成果が得られなかった現状に憂慮を示した。
岡田代表は、「不戦の誓いのため靖国神社に参拝する」との発言を繰り返す小泉首相に対し、それを信念とするのならば靖国神社参拝に不快感を示す韓国や中国政府にその信念を理解してもらうまで説得する義務が首相にはあると強調。このままの状態を続けていくことは国益を損うことに繋がりかねないことも重ねて指摘し、「この関係が続いていて本当にいいのか」と首相に質した。首相は「私の靖国神社参拝が日中関係、日韓関係の核心とは思っていない。過去の歴史を直視しながら未来志向で友好関係を重視するのが核心だと思っている」などと主張。20日の日韓首脳会談で韓国の盧武鉉大統領が靖国参拝について「歴史問題の核心」と指摘していた点を、否定してみせた。
岡田代表はこうした答弁を受けて、「しかし韓国側はそう思っていない」と語り、首相を厳しく批判。日本国総理として友好な日韓関係をつくる責任があると訴え、姿勢を改めるよう首相に強く求めた。更に、重要課題である国連の常任理事国入りの問題や東アジア共同体構想、北朝鮮の核問題等を会談で掘下げなかった首相の政治手法も問題視した。
小泉首相は質疑の中で、「心ならずも戦場で亡くなった多数の戦没者に追悼の念を持って参拝しているわけで、どこの国でも自然のことだ。今後よく(中国や韓国の)理解を得られるよう努力したい」などと述べ、参拝継続の意欲を示した。一方、新たな国立追悼施設の建設の意思をめぐって岡田代表が質したのに対しては、調査費の予算計上をめぐり「(予算を)つけるのか、つける必要がないのか、与党の意見を踏まえて検討していく」とするだけで、首相は明言を回避。いつまでに結論を出すかを岡田代表は重ねて質したが、「いつまでにという点については、今決めているわけではない」とするだけだった。岡田代表は軍人だけでなく市民を追悼する意味でも国立追悼施設は不可欠であることを改めて強調した。
岡田代表はまた、女性が生涯に産む平均子供数である合計特殊出生率が4年連続で過去最低を更新した現状に憂慮を示し、当事者の立場に立った有効な少子化対策に本気で取り組むよう首相に要請した。さらに年金の抜本改革をめぐっては、社会保障に関する衆参両院合同会議の設置をもってお茶を濁そうとしている小泉首相の手法を批判し、国民年金を含めた一元化が可能かを議論し、その可能性を見極めたうえで、総理自身が秋までに結論を出す年金の抜本改革の骨格をつくるとよう強く求め、質問を締めくくった。
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